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殺戮のBB

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荒廃した遠未来。第三次世界大戦の爪あとの残る旧日本、リンクレンツ共和国・犯罪都市デッドシティで、荒事を専門として生計をたてるビアンカとバートは、BBという通り名で仕事を請け負って… もっと読む
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#オリジナル小説

56 殺戮のBB

「ようBB、ご活躍だったらしいじゃねぇか。いつからハウンドに入ったんだ?」 「うるせぇ! 入ってねぇよ! バートの馬鹿が沢本とポーカーやって負けたんだよ。そのせいでギャラをむしり取られたんだ」  デッドエンドで飲んでいると、馴染みのチンピラに絡まれた。これまでは三大勢力に支配されていたデッドシティは、一夜にして二大勢力に書き換えられた。  しかしながらフリーの悪党はどこにでもいる。ビアンカたちもその位置にいる。 「あー、ポーカーが馬鹿強いって話しだったもんな。で、その相方は?

55 殺戮のBB

 タイラーが消えれば、沢本とニーナがこの街の支配者だ。いつか新しい勢力が顔を出す時、また戦争もどきの騒ぎがこの街に起こるだろう。  しかし、今すぐ手勢を増やさなければと焦る時でもないように思えた。 「嫌ですよ。BBとしてなら依頼を受けましょう」 「まぁ、それでもいいが。薬をやらないってだけで、この街では案外貴重だ。薬をやる奴にはろくな奴がいねぇ。そのうえおまえらは生き残った。だから気にいった」  言うだけ言ったらもう興味はないとばかりに、沢本は窓から姿を消した。  ビアンカと

54 殺戮のBB

 このナイフ一本で幾度も修羅場を潜り抜けた。今度もまた潜り抜けてやると思いつつ身をかがめる。 「無視されては困りますね!」  同じように駆けてきたバートが発砲する。バートが放つ銃弾から逃れようと、踵を返すがビアンカは狙いを定めた肉食獣のように迫っていた。 「まずはさっきの礼だ!」  背を向けた男の大腿部にナイフを突き刺した。 「うあっ!」  しかしビアンカに再び銃口を向けようとする。だがナイフから手を放していたビアンカは、両手で男の手を掴んだ。  力んだ指がトリガーを引き、空

53 殺戮のBB

 いったいこいつらはなんのためにこれだけの手榴弾をため込んでいたんだ? 戦争でもするつもりだったのか? 一体誰と? 「……」  デッドシティは大まかに三人のトップが君臨している。  沢本率いるハウンド。カジノ・銃器の密売・売春宿。飲食店の他にも宿など手広くやっているが、薬にだけは手を出させない。  ニーナ率いる高級売春宿・睡蓮華。しかしその選りすぐりの女たちは、単なる性サービス嬢ではない。金と権力を持つ男たち、マフィアや犯罪者のトップはもちろん、財政界にもパイプを持つ。そんな

52 殺戮のBB

「バート、おい、バート!」 「少しは相棒を労わろうという気はないのですか?」  バートは床に座ったまま起き上がっていた。ひどく億劫そうだ。 「その台詞は先に爆弾でぶっ飛ばされたあたしを労わってから言いな。見ろよ、地下だ」  デッドシティの建物の多くは大戦前のものだ。経年劣化してきてはいるが、まだまだ十分に使える。ここもそうした建物だ。  視線だけをバートに向けると、バートは膝に手をついて立ち上がったところだった。 「行くぞ」  壁に突き刺さったナイフを引き抜く。そしてバートに