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Four Cities

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地下都市エイキンは無法地帯。そんな地下都市で週末のみトラブルシューターをしているセシリアは、女嫌いで有名なマフィア・ガウトのナンバー3のロニーと出会うが……地下都市エイキンを舞台… もっと読む
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2020年3月の記事一覧

06 剣鬼

「おいおい、ヴィズルの連中はいつからこう生ぬるくなったんだ? なぁ、俺と遊んでくれよ。それともこれはかくれんぼか? 鬼ごっこか? ずいぶん子供っぽい遊びが好きなんだなぁ、おまえらは」  駆け出し寝室のドアへと向かって銃を撃ちこむと、反撃が返ってきた。さすがに弾数が多いので一度ロニーも身を引いた。廊下の壁に背を預け、火力攻撃が途切れるのを待つ。不意の急襲だ。弾数には限りがある。連中がふと冷静になってそれに気付けば、無駄撃ちを抑えるために撃ってこなくなるだろうし、興奮状態が続けば

05 剣鬼

 第一区画も第二区画もほとんどが商業施設だ。住宅が多いのは第三区画から第四区画に多い。しかし第三区画寄りの第二区画一部には住宅も紛れ込んでいる。連中もそうしたフラットを選んで借りたのだろう。目印にした鍛冶屋より少し離れた位置に、水色の外壁のフラットがあった。 「ここだな……」  セシリアの借りているフラットから近い。こんな近場に害虫がいたのでは、ますますセシリアが戻ってこないに違いないとロニーは思った。 「さてと、ゴキブリ退治と行くか……」  そう呟いてロニーは階段を上ってい

04 剣鬼

「おまえ、勘違いしているだろ。俺はおまえが学校通って友達と遊んでいる時から、人を殺しているんだぜ? 仲間の居所を言わないと殺すとでも言うと思ったか? 俺がそんなに優しい事を言うような奴に見えたか? 言っても殺すし、言わなくても殺す」  髪の毛を掴んだ手で、地面に叩きつける。その後わざとらしく微笑んだまま顔を覗き込む。優しく頭を撫でてから、ぽんぽんと軽く叩いた。 「なに、手間がかかるかかからないかの差であって、おまえのお友達もみんなぶっ殺してやる。あぁ、そうだ。俺、おまえらのせ

03 剣鬼

 第二区画までやってきていたロニー・フェリックスは、ふと先日自分を助けた女のことを思い出していた。  セシリアと名乗ったあの女は、当分エイキンには潜らないと言っていた言葉通りに、エイキンへは来ていない。あの口ぶりもそうだが、殺風景な部屋から想像するに、本当にあの部屋は寝るためだけに借りているのだろう。先ほど行ってみたが、留守のままだった。  相変わらず第二区画まで来ると一般人も多く、人通りも激しい。一年を通して変わらぬ常夜の都市は、朝も昼も夜も関係なく欲望に満ち溢れ、そんな欲

02 剣鬼

 スペンサーはロニーの部屋の前まで来ると、カードキーで開けた。ここ最近ロニーが寝たきりになっているので、預かっているのだ。 「ん?」  しかし開けたと思ったのだが、ドアノブはしっかり施錠してあった。もう一度カードキーを差し込むと、今度こそ扉は開いた。 「ピザ買ってきたぞー」  そう言いながらそのまま屋内へと入った。  壁際のスイッチを押して照明を灯す。男一人所帯だが、案外ロニーは綺麗好きなのでそう散らかってはいない。その割に、ごみ箱だけはいつも山もりになっている。この辺りは男

01 剣鬼

※この物語は前作「運命の女」のスピンオフです。  スペンサー・カラックはテイクアウト用のピザとビールが入った袋を抱え、三階分の階段を上りきったところだった。 「はぁ……」  慣れているとはいえ、空腹でもあるスペンサーは軽く息があがっていた。運動不足ということはないはずだと言い聞かせながら、目に入りそうになった濃い茶色の前髪を掻き上げた。  地下都市エイキンでは、地上と比べると建物の高さがない。何せネズミの巣穴のように、あちこちに張り巡らされた魔窟だ。そう深く掘り下げ過ぎると