自分の『好き』を確かめること
この1週間ぐらい、自分の『好き』とか『面白い』を確かめる作業をしてます。
好きな本読んだり、本棚整理したり、とりあえずアウトプット作業は停止して。
この記事は、なんでそんなことをしてるのかっていう話です。
長いので結論だけ読んでも良いし、読まなくてもいいです。
きっかけ
月初の月報で少し触れたんですが、note創作大賞のネタを考えてた際に、自分が書きたい物がよく分からなくなってしまった。
出版社(編集部)の要望とか、読者の望むものを目指して書くのって、多分間違ってないんですよね。特に商業作家なら。
ただ、ちょっとしんどくなってしまった。
「こういうのが人気でウケがいいから、こういう要素を入れた話にしたら賞(ヒット)を狙えるんじゃないか」
って、それだけを狙うことが。
多分、できなくはないんですよ。
当たるかどうかは別として。やり方は。
けど多分、相当しんどいってだけ。
書きたい物を書いてはいけない
と、自分はずっと思ってました。
というのも、講談社で受賞する以前、他社の新人賞で何度か最終選考残りしてたんですが、そこから先に進めなかったんですよね。
(その頃プライベートとか会社員の方が大変で、執筆から遠ざかったというのもありますが)
何が足りないのか、分からなかった。
外連味やキャラ性が足りないとか、一見さんお断りみたいな話とか、なんか色々言われたのは覚えてて、
「まぁその通りだよね」
というのは今だから分かるけど、当時は本当に分からなかった。すごい苦しかった。
そんな感じだったので、再始動にあたり、評価シートが欲しいなーと思って投げた講談社ラノベ文庫新人賞で、まさか受賞してしまった。
これに関しては反感を買うかなと思いずっと伏せてきたのですが、完全な棚ぼた受賞だと自分は思ってます。
担当編集さん曰く、受賞に値するものがあったから受賞した、とは言われるんですが。
なんで受賞できたのか、今でも疑問なんですよね。
だって他社で落ちてる。『足りない』のが分かってる。
まぁともあれ自分は、ひとまず土俵に上がる決断をしたわけです。
が、結果はヒットどころかゴロ。あっという間の1アウトでした。
書きたいように書いて、結果受賞して、結果売れなかった。
追い打ちは、新作の企画書でした。
結構数投げたんですが、ボツに続きボツボツボツで。
何を企画したらOKが出るのか全然分からなかった。
そこで向こうから提案されたのは、『換骨奪胎』でした。
本を出版するというのは、出版社にとってビジネスです。
売れそうにない物を世に出すことはできない。
それに関して、自分は納得してました。
書きたい物を書いて売れるなら苦労しないけど、商業でやりたいと思った以上、自分もビジネスでやっていかなきゃいけない、と。
そこから半年以上書けて、提示された人気作を読んで、分析して作り替える作業が始まりました。
エタったWeb連載
余談ですが、企画書を次々とぶん投げていた頃、Webで『魔術構築士ルディ・レーヴェの時間外業務記録』という作品を書いていました。
なろう系というか、一度テンプレに沿った物を書いてみようという挑戦は前からしてみたかったんですよね。
流行り物が書けない人間なので、そこら変の勉強として。
でも結局、中盤になって書けなくなってしまった。
この作品の面白さが、自分で分からなくなってしまったんですよね。
これに関しても今ならなんとなーく、薄らと分かるんですが。
多分、自分が何を書きたかったのか、迷子になってしまった。
世界観も気に入っていたし、キャラも好きだった。
ただ背骨が通ってなかった気がする。
一本筋、自分が作品を通して書きたいもの。
書いてて詰まったところが、魔術の詳細説明のあたりだったんですよね。
なんか多分「自分はこんな世界観説明が書きたかったのか?」って、なってしまったのかと。
その頃開催してたコンテストに、あわよくば参加したいなーとか考えて、見切り発車したせいもあるかな。
なんにせよ、迷走してた。
読んでくださっていた方には本当に申し訳ないです。
ただ、書き終わってもゴロにしかならなかったと思う。
それだけはなんとなく予想がつく。
勉強の成果
換骨奪胎を勉強した末の、今のところの自分なりの結果が、多分、『リュクレース気象予報局のシエル』だと思います。
これもまた余談なのですが、物語の『型』を学ぶなら、わかつきひかる先生の本は一度読んでおいて損はないと思います。
下記の記事で紹介してます。
先生の指南本を読んでから『感想ノート』なるものを書いてるのですが、あらすじを書き出すだけでも、結構見えてくるものがあります。
インプット量にもよると思いますが、自分は半年~1年ぐらいで色々気付きが増えた感じです。
オススメ。
ともあれ、そういう長々とした経緯で、この1年近く換骨奪胎を徹底的に意識してきた自分ですが、きっかけの項で書いたことにぶつかりました。
相当悩んでたのかな。
担当さんと打ち合わせする機会があり、色々と相談しました。1時間ぐらい。お時間割いていただき本当にありがとうございます。
色々お話ししていただいたのですが。
作者の書きたい物と読者の欲しいものが重なるベン図のこととか。
荒川静香さんの話とか。
ともあれアウトプットは精神削るし、自分の「面白い」を補充しようぜ!という話で終わりました。GWだしマリオの映画見たりとか。あとポケモンSVがシナリオめちゃくちゃいいから参考にプレイしようと勧められました。確実に時間泥棒ですよそれ。
オフライン創作会
そんなこんなで悩んでたので、noteのオフライン創作会には気分転換兼ねての参加でした。
(申し込みは担当さんの打ち合わせより前)
プロットレビューには、note創作大賞にと考えてた企画ではなく、以前趣味で書いて電撃大賞に落選した作品を企画書に起こし、提出しました。
以前、別担当さんに見せた時に、
「分かりやすくカタルシスを得られる系統じゃないから売り方が難しい」
「分かりやすく売れるポイントが欲しい」
と言われた作品です。
まぁ、分かる。
なんかそこら辺も、書きたい物ではなく売れる物を書かなきゃいけない、って思ってしまった一つの要素だったのかも、と今では思う。
そんなこんなで、足りないなというポイントは分かっていたので、プロットレビューも半分ぐらい予想通りでした。
類似の先行作品を出された時に、
「あ、それ好きです。それも好きです。それも」
となったのはビックリしましたが。編集って怖い。
――で、聞かれたんですよね。
「この作品で一番何を書きたいの?」
と。
よく分からなかったんですが、自分は咄嗟に、
「そういう世界で生きる、人の生き様」
と答えて。
レビューから1週間ぐらい経って思うのは、多分、それが自分の中の一つの答えなんだなと。
ただまだ、その作品をどうしたのかは見えてない。探してる。
自分にとって創作会のメインイベントは終わった、みたいな感じだったんですが、作家のお三方のクロストークも刺さる物がありました。
多分、記事は当日の全内容ではないのですが。
なんか、自分が好きな物を大切にした方がいいんだな、みたいな事を思った記憶はあります。
出版社は売れる物を求めるくせに好きを書けってどういう話だよ!
ってめちゃくちゃ思いますけどね。
そんなこんなで結論
自分の『好き』とか『面白い』が分からなくなったので、確認することにしました。エネルギーチャージ。
小説とか、最近好きに読んでなかったし。
人気作とか、先行作品のチェックばかりで。
それもよくなかったのかなって。
自分なりの結論なんですが、自分の好きを無視して読者の要望だけで書ける分けじゃないと思うんですよね。
モチベというか、走るエネルギーというか。
いや書ける人も世の中にはいそうですが。それはそれで突っ走って良いと思う。
その辺りの話は、5/11のスペースでお話しされていたかも。
会社員してる時に、
「金の為だけでも、金以外の為だけでも働けない」
「理想だけでも、現実だけでも生きていけない」
とはよく思ってたんですが、ようは同じ事なのかなって。
大切なのは、バランス。自分が納得できる塩梅。
まぁね、極論だけどね。
作品に自分の『何か』がなかったら、それを書くのは『自分』じゃなくていいんですよね。
自分の作品に共通するもの
これは完全に余談。
遅筆作家なんで人生で書いた長編作品の本数って多くないんですが。
でも『双黒銃士と銀狼姫』とか、その前の最終落ち作品とか、かすりもしなかった一次落ちを思い出して思うのは、多分、結局、自分は『生き様』を書きたいのかなって。
そういう世界で、
そういう環境で、
そこに生きるキャラ達が何を思って、
どういう選択をして、
どんな結末を迎えるのか。
だから恋愛小説だとかお仕事物だとかいうのは、後からカテゴライズされてるだけで、ようは付随物でしかないというか。
カタルシスとか読後感を、メインに置いているわけではないから、バッドエンドも自分は全然ありなんですよね。
『花憑き』なんかがもろにそう。
まぁじゃあ、それを書きたいとして、どうやって世の中のニーズと擦り合わせるのかって話なんですが。
ちょっとそれは、まだ分からない。
多分、必要なのは売れる物を書く能力じゃなくて、書きたい物を擦り合わせる能力なのかなって。
そんなことを思いました。
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