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【紹介】小説執筆ハウツー本

ここ数年で読んだ、小説執筆に役立つ本を紹介します。
完全に個人的な感想です。


ハウツー本

1. 面白ければなんでもあり 発行累計6000万部――とある編集の仕事目録 / 三木一馬

電撃文庫の敏腕編集者で知られる三木一馬氏の著書です。
歴代担当したヒット作、『俺妹』『SAO』『シャナ』などの誕生秘話・裏話と共に、作品のヒットしたポイントや、作者やキャラクターについて語られています。

具体的な小説の書き方は載っていません。
どちらかというと、物語を作るに当たってのスタート地点=企画立ての話や、編集者目線での業界のお話し。

『家訓』『想定読者』『キャッチーさ』などの要点が特に参考になりました。

あくまで、ヒット作品からの逆算が本書の内容です。
正直、理解はできるけど実践は別です。
読んだからと言って一朝一夕に出来るわけではないなと自分は思いました。

最終的な結論はやはりタイトル通り、「面白ければなんでもあり」。
とある方が言っていたんですが、最終的には面白い原稿がそこにあればそれでいいんです。

三木氏の担当作が好きな方、担当作のような作品を作ってみたい方、編集者になりたい方は読んで面白いと思います。


2. 小説家になって億を稼ごう / 松岡 圭祐

主に作品がヒットすることを前提で話が進みます。
内容は主に、作品を作るまでと、デビューしてからの2つに別れます。

①作品を作るまで
本書では話作りを『想造』と呼んでおり、登場人物作りを中心とした話作りについて触れてます。
内容はかなりアッサリです。要約すると、「とりあえず空想しろ」かもしれない……

とはいえ、登場人物に写真(イラスト)を貼付けるというやり方は、非常に有意義でした。
今では自分の作業過程に完全に取り込まれており、仮ビジュアルや検索中に絵からインスピレーションを得る場合も多いです。

一点、首を傾げたのは、小説のリリース方法。
編集への原稿持ち込みに触れられていたのですが、今の時代はほぼナシでは……?と。
コネがある・実績があるなどの場合に限られる気がします。
一般文芸界隈は分かりませんが、ライトノベル界隈では無名の新人は門前払いだろうし、小説投稿サイトで人気取って来てね、になるんじゃないでしょうか。

②デビューしてから
こちらが本書の肝だと思います。
校閲の話や、出版契約書の話、印鑑、開業届、法人化……果てはSNS開設についてまで。
あまりハウツー本では触れられていないことが書いてあります。

ただし、専業作家になることを前提に話されていますので、そこはご注意。

一応、デビュー作が売れた場合/売れなかった場合についても話されていますが、後者はあまり手厚く触れられていません。

自分は受賞の前後ぐらいに読んだ気がします。
まぁ結局売れなかったので、あまり②は役に立たなかったかな……

校閲話はちょっと役立ちました。

3. 作家で億は稼げません / 吉田 親司

前段と反する内容――というか、松岡圭祐先生の『小説家になって億を稼ごう』が前提のカウンターとして書かれた内容です。

ベストセラーを出してはいないけど、業界で干されてもいない。なんとか生きている――

そんな作家、吉田親司先生のこれまでが書かれた本です。

ちなみに自分は、電撃文庫で出された『MM』シリーズを購入しており、それで吉田先生の名前を覚えていたので、本書に興味を持ち読みました。

とりあえず、諦めず書き続けるしかないんやな……と思いました。

ただ本書では営業活動を行ったと書かれていますが、やはり『小説家になって億を稼ごう』の①でも触れましたが、編集部への営業は、2023年現在、現実的ではない気がします。
というのも、小説投稿サイトの存在です。

今や「小説家になろう」や「カクヨム」、その他多数の小説投稿サイトで人気を博し書籍化される作品は、かなりの刊行点数になっています。
中には、「書籍化したければもう一度ランキング入りして」と言われる人もいるとかいないとか……

あくまで他出版社への営業は、売れてる作家だから有効、というのが自分なりの考えです。

読み物としては面白かったです。
トンデモ編集者列伝とか。


4. やっぱり王道がおもしろい カタを使った物語の生み出しカタ / わかつきひかる

『換骨奪胎』について書かれた本です。
換骨奪胎とはなんぞや?と思った方は、「換骨奪胎 小説」とかでググって下さい。

ぶっちゃけ、天才には必要ない本です。

自分は天才ではないため、必要になりました。

読んだのはデビュー作発売前ですが、YouTubeでわかつきひかる先生の動画をオススメされ、視聴。
そこで換骨奪胎の事を知り、また、なろうテンプレを使った小説を書いてみたいなーとは以前から思っていたため、購入してみました。

本書を読んでから自分も『感想ノート』なるものを作りましたが、最近になって少し効果が出てきたかなと思います。

話のテンプレート表が載っているので、お試しでテンプレートに合わせて話作りを練習してみるのもいいかもしれません。


5. SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術 / ブレイク・スナイダー

ハリウッド映画の脚本術です。
ログラインとはなんぞや……とググっていたところ、辿り着きました。

多数の有名ハリウッド映画を例に出し、解説しているのが特徴です。
多くのハリウッド映画を見ている方ほど、あーなるほどね、となるかと。

自分はあまりハリウッド映画は見ていないのですが、それでもなんとなく分かったので、かなり分かりやすく書かれていると思います。

ログラインを始め、ジャンルや、世界観の提示、Save the catの法則……
小説にも通ずる内容は多かったと思います。

ただ、本書で挙げられている話の作り方『ブレイク・スナイダー・ビート・シート(BS2)』は、人によって合う合わないがあるかな、と。
自分も実際やってみようかなと思い、カードまでは買いましたが、結局実践しませんでした……

Twitterでよく、榊一郎先生を始め多くの先生方が仰っておられますが、手法の正解は人によって違う、ということだと思います。

最適解は自分で探すしかない!


6. 書きたい人のためのミステリ入門 / 新井 久幸

ミステリーってどうやったら書けるんだろう……と、思って……

いや、ライトミステリとか、日常の謎解きとか、流行ってるじゃないですか。ジャンルとして確立するぐらいに。

短編連作ミステリとか、どうやったら書けるのかなと思い、「ミステリ 書き方」でググって辿り着きました。

結論から言うと、ミステリの有名どころ紹介本の側面が強かったです。
知っている未読タイトルもいくつかあったので、読んでみようかなーと思いました。

肝心のミステリの書き方についてですが、ミステリの「お約束」についてが主でした。

「即出来そう! 書けそう!」
という感じではありませんが、
「確かに、そう。ミステリってそういう文脈あるよね」
と気付かされます。

換骨奪胎にも通ずる話ですが、結局、テンプレに従うには数を読んでテンプレを自分の物にする必要があるのかなと思いました。

番外編

ライトノベルの新潮流 その進化と変容の道筋を読み解く! / 石井 ぜんじ

ライトノベルの誕生から変遷、そして近年の小説投稿サイトの存在についてまで触れられています。

カバー範囲が広いため、一つ一つについてはさほど深掘りされていませんが、少女向けのラノベやケータイ小説など、ライトノベルに関わった様々な事柄が書かれています。

自分もそれなりの年数、ライトノベルというものに触れてきたので、あの時代は確かにとか、そんなこともあったと思うことが度々ありました。

編集サイドから見たラノベ史としてよくまとめられていて、面白かったです。


おまけ

『やっぱり王道がおもしろい カタを使った物語の生み出しカタ』の著者わかつきひかる先生が、新しい動画を出していました。

松岡圭祐先生の『小説家になって億を稼ごう』と、吉田親司先生の『作家で億は稼げません』に触れると共に、年収についてお話しされています。

タイムリーだったので、紹介させていただきます。


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