現役美容師僕は癌になり人生観が変わりました5

前回の続きから。

前日に病院からの電話で当日まで全く眠れませんでした。

学生の時に好きな子とデートする前の日くらいドキドキして眠れなかった。

あの時とは天と地の差ですが

29歳の誕生日を迎え、当日は実は彼女が予約してくれていたお店に食事に行く予定でした。

もし万が一、良性の脂肪腫ならばとてもハッピーなので

結果を聞くまでお店には連絡しませんでした。

その薄ーい期待に賭けたかった自分がいました。

そして病院へ、向かう。

病院まで歩いている時、待合室で待っている時

記憶が無いです

気付いたら先生に呼ばれていた

先生『結果が出たのでお伝えします』

僕 『はい』

先生『悪性の腫瘍です。間違いなく癌です。』

僕 『‥‥』

先生『若いので、早めに治療を開始しないと進行していったしまいますので‥‥』

ここからは先生の言った事を全く覚えておらずに、真っ白になりました。

5分くらいしてからハッと気が付き

先生『大丈夫ですか?』

僕 『何がですか?』

先生『これから入院先を探して治療を開始していく上で準備がいりますが、なるべく早く手配出来るよう私も掛け合いますので、ひとまず親御さんに話して先を決めてください』

僕 『‥‥わかりました』

先生『またこちらから近日中に連絡致しますのでそれまでに、決めておいてください』

僕 『‥‥わかりました』

大体こんな感じで、10分くらいの診察は終わりました。

放心状態でしたが、病院には居たくなかったのでとりあえず家まで歩いて帰りました。

その道中でまず、母親に電話

僕 『久しぶりー元気?』

母親『あら、久しぶりね。あんたこそどうなの?』

僕 『いやまあまあかな、おじいちゃんおばあちゃんはどう?』

こんな感じの、会話で5分くらい全く本題を切り出せず。

母親『それよりどうかしたの?電話珍しいじゃない』

僕 『ああ、じゃあ話すけど‥‥‥‥とりあえず落ち着いて聞いてくれる?』

母親『なによあんた』

僕 『俺さ、‥‥‥結構前から体調悪くてさ‥‥‥今日病院で診察受けたんだけど‥‥‥病気になっちゃったんだよね』

母親『何それ?どこか悪いの?』

僕 『落ち着いて聞いてね‥‥‥癌だってさ』

母親『良いわよそんな冗談!嘘なんでしょ笑』

僕 『いや、嘘じゃ無いんだって。今言われたの。これからのこと親と話してくれって。』

母親『‥‥‥‥‥今日お休みなんでしょ?今からお父さんと向かうから』

僕 『いや、これから彼女と会うからさ。明日でもいいかな』

母親『分かった、明日朝一番でそっち行くから休んでなさい』

僕 『ごめんね。』

母親は泣いていた。

久しぶりの息子からの電話で、癌になりましたって

一体どんな気持ちだったのか。

そして、結局自分の病気なのに親や周りにどうにかしてもらう感じが少ししてなんだか情けなかった。

※この気持ちは後々すごく強く感じることなんですが。周りの人に頼った方が良いと今では本当に思います。

この日は色々考えて頭がおかしくなりそうだった。

しかしまだまだ一日は終わらない

家に帰って少し落ち着いてから彼女に話そうと思った。

しかもこの日は非常に体調が悪く熱も38.4℃だったのを未だに覚えている。

コーヒーを飲んで彼女に電話。

親に電話するよりも緊張した。

続きます。




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