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【これを読めば童話が書ける!】自己流はもう卒業! 童話の作り方(2017年3月号特集)

どんな童話なら面白いと思ってもらえるか?

 子どもにとって面白い話というのは、どんな話でしょうか。実例とともに説明します。

【共感】

 童話は突き詰めて言えば嘘の話。なのに、まるで自分のことのようだ、そうだそうだと共感する。そういう話なら読みたくなります。
[オススメ]
『グレッグのダメ日記』(ジェフ・キニー著・ポプラ社)
ズルで、まぬけで、ダメダメのグレッグの日常をユーモラスに描いた日記形式の童話。
でも最後にグレッグがとった行動には誰もが感動する!

【解放】

 やりたくてもできないことを、主人公がしてくれる。物語の中にトリップできる。そこに心の解放がある。読みたいのはそんな話です。
[オススメ]
『おばけ桃が行く』(ロアルド・ダール著・評論社)
 庭の桃の木に実がなり、みるみる巨大桃に。中には巨大な虫7匹。ジェイムズを乗せた巨大桃は断崖から海に飛び込み、はるかな冒険の旅に。

【しみじみ】

 しみじみと切なくなる話はいい。切ないけど、決して嫌な気持ちはしない。むしろ浸っていたくなる。それも「面白い」のひとつ。
[オススメ]
『青空のむこう』(アレックス・シアラー著・求龍堂)
思いを残して亡くなった少年がゴーストとなって戻ってくる。誰にも思いを伝えられないが、最後に奇跡が起き、そして再び旅立っていく。

童話を書こうというのに、童話を読んでない人が!

 「最後に童話を読んだのはいつだったか、子どもの頃に『イソップ物語』を読んだな、童話ってああいう話? それとも『桃太郎』のような昔話? どっちにしても子ども向けの話を書けばいいんだよね。子どもには素直で純粋でいてほしいし、いじめとか絶対やってほしくないから、そういう世の中に寄与する話を書こう……」

 初心者はこんな感じで書き出すことが多いようです。実をいうと、これがすべての間違いの根源。

 その主義主張は素晴らしい。しかし、それで肝心の子どもにそっぽを向かれては意味がありません。高邁な理想は置いておき、まず今の子どもが「読みたい!」と思うものを書きたい。

 今の子どもと今の童話についてほとんど何も知らないという人は、今の子どもについて考えつつ、書店などで売れ筋の童話を調べましょう。まずはインプットです!

こんな童話は予選で落ちる!

 いくら文章がうまくても、構成が巧みでも、これではまず入選できないという作品があります。ここでは、そうした作品の特徴を挙げていきます。

昔の童話はそれとして、今書くのは今の子の童話

 童話というと教訓話を書く人が多いのは、世界三大童話と言われるイソップ童話、グリム童話、アンデルセン童話が頭にあるからでしょう。

 イソップ童話は寓話。「こんなことをしてはダメ」という教訓話です。

 グリム童話は創作ではなく、ドイツの民話。「真面目に生きないと大変なことになるぞ」と脅す残酷な話も。

 アンデルセン童話は、情操教育に優れた美しく切ない話が多いのが特徴。メルヘンっぽい童話を書く人は、アンデルセンの影響が強いのかも。

 現代童話も、こうした古典はベースにはしていますが、読者対象は現代の子どもですし、童話に対する考えも昔とは違います。

 たとえば、前号で紹介した「JX・ENEOS童話賞」の最優秀賞「次の約束は日本海」は、干物になったスルメと高級な干物の「でべら」が瀬戸内海でデートする話。上から目線の教訓的要素はありません。

 今の童話は今の子どもを楽しませるのが主眼。書くなら、今の童話を読んでみましょう。また、今の子を観察してみましょう。身近に子どもがいなくても、まちを歩けば子どもはいますし、映画やドラマの中にもいます。要は観察しようと思う気持ちと観察眼です!

メルヘン調

 童話というと、お花畑に蝶がいて、可憐で純真な少女が日がな妖精と遊び……という話にしてしまいがち。それもいいですが、プロフィールを持たない人形のような主人公には誰も感情移入しません。

昔話風

 昔話風の童話も大いにいいですが、それが唯一の童話の形と思わないで。時代を昔にするなら、その時代でないと成り立たないとか、主人公のキャラが生きないといった理由で設定しよう!

教訓話

 教訓話を自分に置きかえてみましょう。「私はたまには飲みにいきたいと思いました。でも夫が一生懸命働いているのに罰が当たると自分を戒めました」。気持ちがふさぎますね。子どもも同じです。

子どもをなめるな!

ここでは悪い例として、「メルヘン調」「昔話風」「教訓話」の三つを挙げましたが、それがダメという意味ではなく、「子どもなんかその程度の話で大喜びだよ」という安易な発想がダメということ。
なんの工夫もない話でも子どもは喜ぶ、と思うのは、子どもを甘く見ているから。子どもだましと言いますが、その実、大人はだませても子どもはだませません。子どもを上から見るのではなく、子どもの目線で…

特集「自己流はもう卒業! 童話の作り方」
全文はこちらから!

※本記事は「公募ガイド2017年3月号」の記事を再掲載したものです。

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