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【活躍中の作家も苦労していた!】作家を志すあなたへメッセージ(2013年2月号特集)


文壇には先輩がゴロゴロ

 ひとくちに本誌読者といっても、毎号のように本誌を買い、公募情報を見るだけでなく、連載や読者コーナーなども読んでいたヘビーユーザーもいれば、気が向いたときにときどき買う、あるいは、新人賞に応募するために一度だけ買ったという方もいます。

 熱心な愛読者から生まれた作家としては、湊かなえさんがいます。湊さんはアマチュア時代、本誌の川柳募集「心理学五七五」に採用され、柏田道夫先生がやっていた「シナリオ実践教室」でも佳作に選ばれています。直木賞作家の村山由佳さんも、デビュー前は熱心な読者だったそうです。

 日本ホラー小説大賞長編賞を受賞した飴村行さんは、20年も本誌を購読しているとか。おもしろいのは、プロになった今も購読していることで、その理由は、「読者投稿ページに目を通すと、すごくやる気が出る。がんばらなきゃって励まされるんです」とのことです。

本誌がきっかけでプロに!

 では、アマチュア時代に本誌を読んでいた方々のコメントを紹介しましょう。

【桐野夏生】江戸川乱歩賞

友人は、これこれこういうのがある、と電話口の向こうで『公募ガイド』を読みながら言った。長編がいいかも、とつぶやくと、彼女はファックスで『江戸川乱歩賞』の部分を送ってくれた

(本誌93年10月号)

【村山由佳】小説すばる新人賞

毎月9日になると、本屋へ行った。買ってきた『公募ガイド』を隅から隅まで読んで、自分のアンテナに引っかかるものを選び出す

(本誌94年3月号)

【川上弘美】パスカル短編文学新人賞

『公募ガイド』を買ったことが今までに一回だけある。仕事をやめ、結婚した直後である。「さて暇になったから、投稿なるものをしてみようか」という動機であった

(本誌94年7月号)

【福井晴敏】江戸川乱歩賞

普段は何でも立ち読みで済ます男が、その時は珍しく買って帰り、応募原稿の綴じ方から名前の書き方まで、すべて公募ガイドさんのお世話になって、それから五カ月後、江戸川乱歩賞に初の応募をした

(本誌98年11月号)

【山本文緒】コバルト・ノベル大賞 佳作

立ち寄った本屋で、公募ガイドを手に取って、「こんなものがあったんだ」と思い、一番締め切りが近かったコバルト・ノベル大賞に応募したんです

(本誌2000年10 月号)

【高野和明】江戸川乱歩賞

手元に『公募ガイド』があります。二〇〇一年二月号で、乱歩賞に応募する際に買い求めたものです。
ほんの半年前は、自分も、今この記事を読んで下さっている方々と同じく、野心と夢想に取り憑かれて原稿と向き合っていました

(本誌2001年9月号)

【森絵都】

講談社児童文学新人賞私も学生時代は『公募ガイド』は毎月読んでいました

(本誌2003年6月号)

【石田衣良】オール讀物推理小説新人賞

僕のときには既に「公募ガイド」という便利なものがありましたから、順番にマルをつけていったんです

(文藝春秋のWEB対談より)

【熊谷達也】小説すばる新人賞

五年間は仕事をしながら新人賞に挑戦しようと思って、その足で本屋さんに公募ガイドを買いに行きました

(2006年の産経新聞より)

【荻原浩】小説すばる新人賞

公募ガイドを見て、「一番締め切りが近い賞はどれかな」と……。当時はミステリーが全盛で、純文学系以外のノンジャンルの新人賞は、まだ少なかったんです。小説すばる新人賞と、現在はもうありませんが小説新潮新人賞の二つを見つけ、締め切りの近いほうを目標にしました

(本誌2007年10月号)

【内藤みか】

高校生のときに公募ガイドと出会うんですよ。それからは、自分が興味を持った公募を切り貼りして、締切順に並べ替え、絶対応募したいものには花丸、気になるものには△なんて印を付けて整理してました。

(本誌2008年6月号)

 ほか、「かつては公募ガイドを読んでいた」「公募ガイドを見て応募した」という作家の名前を挙げると……。
(以下、敬称略)高嶋哲夫、長野まゆみ、花村萬月、大石直紀、柳広司、戸梶圭太、本多孝好、橋本紡、大崎梢、米村圭伍、森昌麿、岩崎夏海、牧野節子などなど。

 これ以外にもわかっているだけで30名ほどおり、編集部では、新人賞でデビューした作家の7割は、一度は公募ガイドを買ったことがあると見ています。

次に夢をかなえる読者は誰?

 公募に応募する読者に共通するのは、やはり夢ではないでしょうか。リリー・フランキーさんは、夢と本誌について、以下のようにコメントしています。

「べつにイラストレーターを目指していたわけじゃない。営業しなかったし、『公募ガイド』は愛読書だったけど、応募したことはなかった。20万円とか50万円とか、1カ月暮らしていける賞金の情報を眺めて、もらった気になってうっとりしてたよ。今でも読むけど、『公募ガイド』は絵に描いた餠を食べるための本だから、楽しいよね。夢を見れるよ」

(本誌2010年6月号)

 夢に向かって猛進できる人もいれば、いつかはと思いながらなかなか一歩が踏み出せない人、あるいは、仕事や家庭の事情のため日々の暮らしに流されてしまう人もいます。
 でも、今年こそ行動に移しましょう。念願の賞を獲りにいきましょう。そして、名だたる先輩読者に続いて夢を叶え、皆さんも受賞者として本誌誌面に戻ってきてください、ぜひ。

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※本記事は「公募ガイド2013年2月号」の記事を再掲載したものです。