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無目的にぐるぐると

布団の中からぼんやりとしか見えない目で時計を見るとどうやらもう12時を過ぎているようだった。それでもまだ眠れてしまいそうで、もう一度布団にくるまり、体を丸めて身を沈めると、眠れた。また目が醒めて、今度はスマホを手に取り画面をつけると13時前だった。30分ほどの睡眠の充実感に圧倒されながらも、こんな時間まで眠ってしまった休日の始まりに自分への罪悪感と少しの損を感じた。

起きて、しばらくして、いつも使っているトートバックに本を2冊とノートとペンケースを入れて、出かけた。今日も寒い。家を出て、寒い。一度戻ってもう一枚服を重ね着した。マフラーを巻いても寒いと感じる。お腹が空いているからだろうか。

どこにいくとも決められず、無目的に駅に向かい電車に乗る。
路線図を見てもどの駅でおりようか、とんと見当がつかない。
それでも家にいるより外に出ようと思ってしまったのだから、どこかに行きたいのだろう。けれど、無目的だった。

結局、お腹が減ったので次の駅で降りて、そこでもしばらく歩く。
お腹が減っている。でも、なにを食べたいのかわからない。
せっかくだから、これまでいったことのないお店に行きたいと思う。

なんだかピンとくるお店が見つからず、どんどん歩いてしまう。
歩いて歩いて、次の駅まで来てしまった。
何をしているんだろうと、やるせない。

次の駅の駅前の喫茶店に入る。古い。
もう夕方と言っていい時間に差し掛かっていたけれど、
カレーとコーヒーを頼んだ。

カレーが胃に沁みた。
空腹で歩き回ったあとに、食べ物はこんなにも体に沁みてくる。
コーヒーを一口飲んだ後の充実感が計り知れなかった。
これが満足すると言うことなのかもしれないと思った。

トートバックから本を1冊取り出して読んだ。
もくもくと読み進めていられた。
お店の人が空になったグラスに水を注いでくれた。2回も。

ひと段落して、本を閉じる。
トイレに行って、また読む。もうひと段落する。
2時間ほどして、お店を出た。空の色は暗い藍色で、それは夜だった。

無目的の結果、満足を得られて私は充実した心持ちで駅まで歩いた。
また電車に乗って、どこに行こうかと思いながら家に帰った。

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