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ポンプ
ただの心臓をポンプにした有機生命体である君を太陽だとか神様だとかいうことはやめることにしたのだけれど、それでも遠いところからみて花を愛でるよう心がくすぐられるような恋心を生かしてくれたのだと思った。それがただの思い上がりだとも知らず。
君は愛とか恋とかそれを私自体に抱いていないし、好きとか嫌い以前にどうでもいいを抱いていたことを知ったとき、私は長い長い眠りについた。美味しくない苺を食べて、木の板の目の数を嫌になるほど数えてもそれは夢じゃなかった。現実だった。もう忘れた子供の夢も、ただひたすら走るだけの夢も全部全部私の頭がみせている幻覚だったのに、その君の言葉だけは現実で、それはもうどうしようもないほど現実で、激烈に痛かった。刃物で刺されたように、尖ったガラス片で刺されたみたいに痛くて、でもその傷を自慢したいほどの柔らかさもなくてとにかく悲痛で心が痛かった。生きた心地がしなかった。あ、これが私の恐れていた災厄だったんだ。全て壊れた。壊れたよ。私が壊してしまったんだね。神様を怒らせた。愚かな有機生命体の私はその時初めて神様を怒らせてしまったんです。私の恐ろしい大事な宝箱の中身を見せても、神様は笑っていてくれたのに。笑って許してくれたのに。もう引き返しがつかなくてごめんなさい。どうして私、神様を、あなたを変えられるなんて、愛されるなんて思い違いをしてしまったんだろう。違うの、違うんです。素敵な温かい光に当てられて、全て許されたような気がしたの。許されるはずなんてあるわけないのにね。笑ってくれ。笑ってくれていいよ。私も気がついたことがあるの。
君は最初から私の太陽じゃなかったんだよ。
その事実に気づいたらもう許せなかった。嘘つき。騙してたんだね。私を、可愛い私を。返せよ、私の時間を。貴重な時間返してよ。ねぇ。
さようなら、私の神様じゃなかった人。私の太陽じゃなかった人。もう二度と会いませんように!
…なんて思ってまた暗闇に戻ったのに、温かい光が差し込んできて、よく見たらまたあなただった。どうしてですか。
ずっと波打ち際にいる。これまでもこれからも。金輪際、私はあなたの波打ち際にいるんだね。笑ってくれよ、これでもあなたを愛しているし、幸せを、輝きを、ただ無条件に願っているんだよ。卑怯で、狡くてごめんなさい。光に当てられ生きようとしてごめんなさい。
本当にごめんなさい。
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