#トヤマビト。Vol.18
富山には、自分らしくいきいきと活動する魅力あふれる人たちがたくさんいます。
知れば知るほど好きになる。
そんなトヤマビトたちとの出会いと発見を、みなさんと分かち合いたい。
第18回目 フランスの建築の巨匠の元で修行を重ねた建築家。
吉田:大学1年生の頃ひとりでパリに旅行にいったときに、街の中に建つ“アンヴァリッド廃兵院”に惹かれました。当時は建築のことをよくわからなかったのですが、初めて建築の存在感に気づいて魅力を感じました。
吉田:ペローは雑誌で見ていてかっこいいなと思っていた建築家でした。
大学2年生のときにペローが大学にワークショップで来たんですよ。
僕は参加できなかったのですが、その時のテーマが「包みましょうよ」だったんです。建築を包みましょうというような。
僕はもともと建築よりも服を作ることが好きだったので、「包みましょうよ」というテーマがしっくりきたんです。“包む”って服や布を連想させるので。それからすごくペローのことが好きになりました。
その後就活が始まる頃に、ペローが手掛けた富国生命ビルが建設されたのを見てかっこよくて、絶対にペロー事務所に入りたい!と思いました。
吉田:卒業アルバムくらいの大きさの分厚いポートフォリオを手作りして、ペロー事務所へ送りました。
そしたら本当にラッキーで、たまたま受かってパリに行くことになったんです。こんなに大きい物を送ってくる人はいなかったんでしょうね。
ずっと捨てられずに事務所に残っていたので、僕が日本に帰ってくるときに持ち帰ってきましたよ。
吉田:形をつくることが得意だったので、ひたすら模型をつくっていましたね。コンセプトを作る、最初のデザインの段階をメインに携わっていました。
3年半の間に、パリロンシャン競馬場やパリ中央郵便局など多数のプロジェクトに関わりました。
韓国の大学の設計は、初期のデザインだけでなく中のブランディングの部分も結構メインで関わっていました。
吉田:いろんな国の人と一緒に働いていましたし、パリでの生活もすごく楽しくて、刺激的な毎日に満足していました。
海外から日本を見ていると、今まで全然興味がなかった日本の文化が新鮮に感じられて、興味を持ち始めたんですよ。
例えば、お寺。象徴的にドンと建っているけど繊細さがあるとか。しかも自然と調和している。
相反して、フランスのベルサイユ宮殿は自然を支配しているイメージなんです。
自然と共にある日本文化って、やっぱりいいなって。
ちゃんと日本に帰って、自分の地盤を作ろうと思って2015年に帰国しました。
吉田:富山に戻ってからは、海や山へよく遊びに行っています。
雨晴海岸が特にお気に入りです。身体の心地よさを感じますね。
富山の雄大な自然は本当に魅力的です。
吉田:日本的なテイストのものがどんどん増えてきていますね。半分は県外のお仕事をしています。
『日本的×アート×領域横断』をテーマに、建築以外のプロダクトも手掛けています。伝統工芸と掛け合わせたものが多いです。
建築以外のことをやっているように見えて、軸は建築なんです。
建築に伝統産業の技術を取り入れるのは予算もかかって実現しづらい部分があるのですが、建築に取り入れることで空間をつくることができるようなちょっとしたプロダクトだったら実現しやすいんじゃないかなと思って。
伝統的な技術への価値にまず気軽に触れていただけるようにしていきたいです。
吉田:建築に関わるものは全部デザインしていきたいです。それが最終目標なんですよ。家具やカーテンなども大切な要素だと思っています。
その布石として『hajimeyo』というブランドをつくります。
建築が集まったら街になるじゃないですか。
だからアーバンデザインもランドスケープも全部デザインできたらいいなって思っています。
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