見出し画像

思い込みの罠

脚本家を目指して、教室に通っていた頃、
「人は、こんなにも先入観にとらわれているものなのか」
と痛感しました。
というのも、自分も含め、教室メンバーが書いてくる作品の多くの登場人物が「いかにも類型的」だったからです。

例えば、
・急成長中のITベンチャー企業の社長=金儲けはうまいが冷徹
・定食屋のおかみさん=ほがらかで面倒見がよく、肝っ玉母さん的な性格
・芸術家=気まぐれで社会性がない
といった具合。

広い世の中には、お人よし過ぎるIT社長や、ネガティブな定食屋のおかみさん、生真面目な芸術家だっているはずです。
なのに、いざストーリーを創ろうとすると、類型的なキャラクターばかりを思い浮かべてしまう。
脚本の教室に通っている以上、みんな「独創的な作品を書きたい」と思っているはずなのに……。
これは、いかに私たちが偏見や思い込みにとらわれているかということの表れだと思います。

アインシュタインは「常識とは、18歳までに身につけた偏見のコレクションだ」と言っていたそうです。
日常の中で、自分にどんな偏見があるかを自覚するのは難しいですが、物語を作ろうとすると、書き手が長年抱え込んできた思い込みが自然と浮かび上がってくるわけで、「面白い」とも言えますし、「怖い」とも言えますね。

言いかえると、書き手が思い込みや決めつけを頭から取り払うことができれば、それだけで作品はかなり個性的、独創的になるのだろうと思います。
さらに言えば、思い込みを取り払うことは、人生全般を変えることにも繋がると思うんですよね
「いい年をして、こんなことするのは恥かしい」とか、
「周りの人と同じように行動しておけば、とりあえず安心」とか、
「分をわきまえて、高望みはしないのが一番」とか……。
この手の考えは全部、「常識」だと思いこんでいるだけの、「18歳までに身につけた偏見のコレクション」かもしれないので、試しに取っ払ってみてもいいんじゃないでしょうか。

#日記 #エッセイ #コラム #脚本 #シナリオ #創作
*************
Twitterアカウント @chiezo2222

noteで全文無料公開中の小説『すずシネマパラダイス』は映画化を目指しています。 https://note.mu/kotoritori/n/nff436c3aef64 サポートいただきましたら、映画化に向けての活動費用に遣わせていただきます!