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客席からの眺め

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お箏の演奏会は楽しい! お箏の演奏会に行くといろんな曲、いろんな情景に出会うことが出来ます。 どんな物を聴いて、何を感じたのか。素人が聴きに行った演奏会の感想を、綴ります。
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#リサイタル

「野坂惠璃二十五絃箏リサイタル ~繋~」

「野坂惠璃二十五絃箏リサイタル ~繋~」

二十五絃箏を作られた野坂操寿さんの娘さんでいらっしゃる、惠璃さんのリサイタルです。
とても、とても、素敵でした。

「赤とんぼ」
右手の爪音からトンボが飛び回り、左手からは茜色から藍色に移り変わる空と秋の空気が立ち上ります。
「雪は降る」
音が鳴っているのに、雪に吸い込まれた無音の世界が広がります。
辺り一面、真っ白で、何も見えず、何も聞こえない世界。
音が鳴っているのに。
「胡哦」
美しい美し

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「小池典子 箏・三絃・胡弓 リサイタル」

「小池典子 箏・三絃・胡弓 リサイタル」

数多くの舞台で素晴らしい演奏を披露してくださる小池典子さん。
記念すべきリサイタルと伺い、万難排して馳せ参じました。

長磯箏での「梅が枝」
柳川三味線での「ゆき」
胡弓での「荒城の月」
三絃での「尾上の松」
いずれも小池さんでなければ叶わないプログラムです。

合間に、野川美穂子さんによる楽器の解説がありました。
長磯箏は、京都を中心に使われた装飾性に富んだお箏です。
普段見かけるお箏より、

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「中島裕康 箏リサイタル2022~2023 千葉公演」

「中島裕康 箏リサイタル2022~2023 千葉公演」

圧倒的な、揺るぎのない、正確無比なテクニック。
どの音も、音程もリズムも、一分のブレもありません。
気迫のこもった演奏には、1曲終わる度に、客席から感嘆のため息がこぼれます。

その爪音を、存分に味わうことの出来るプログラムは、バラエティ豊かで、とても贅沢な気分を味わえました。

超絶技巧の十三絃箏
奥深い古典、低調子の十三絃箏
十三絃箏と十七絃箏のアンサンブル
十七絃箏の独奏
総勢12名での

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「金子展寛箏リサイタルvol.2」

「金子展寛箏リサイタルvol.2」

十三絃箏、低音二十五絃箏、二十五絃箏。
一言で「箏」と言っても、それぞれ個性的なこれらの楽器の持つ音、響きを存分に堪能することが出来ました。

一音一音すべてをコントロールし、緩急強弱自由自在に箏を操る演奏は、いつも曲の世界に引き込まれます。
張りのある澄んだ爪音が、減退すること無く、どこまでも飛んで行きます。

個々の曲の素晴らしさはもちろんですが、選曲とプログラムの流れがとても良かったです

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「池上亜佐佳 河原抄子 十七絃ジョイントリサイタル」

「池上亜佐佳 河原抄子 十七絃ジョイントリサイタル」

「池上亜佐佳 河原抄子 十七絃ジョイントリサイタル」行って参りました。

楽しかった!
十七絃箏の柔らかい低音が大好きなのですが、十七絃箏は、十三絃箏と登場すると、どうしても伴奏楽器になりがちです。
しかし、リサイタルであれば、思う存分、その音色を堪能できます。
前回2020年もお邪魔いたしましたが、久しぶりのリサイタル、しかも今回は河原抄子さんとのデュオとのことで、これは必聴!と出かけました。

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「内藤美和 二十五絃箏リサイタル」

「内藤美和 二十五絃箏リサイタル」

「内藤美和 二十五絃箏リサイタル」行って参りました。

面白かった!
リサイタルの楽しみの一つにプログラムがあります。
1回限りのコンサートで演奏出来る曲は、とても限られます。
その中で、何をテーマにどんな曲を選ばれるのか。

もちろん、事前のフライヤーにも載せてくださっていますが、実際にそれらの曲を順番に聴いていくことで、なるほどなるほど、と頷かされます。

1曲目に演奏された「津軽」は、二十五

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