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和歌・一人になりたいけれど独りは寂しい

「奥山に紅葉踏み分け
 鳴く鹿のこゑ聞く時ぞ秋はかなしき」
 古今和歌集・猿丸太夫
(山奥まで分け入って、散り落ちた紅葉を踏み分けたなら、鹿の鳴く声が聞こえた。秋は物悲しいものだ。)


この歌には、中学生の頃に初めて出会った。

当時、世を儚んだ隠遁者が
山奥にまで入って行った際に
鹿の鳴き声を聞いた情景として読んだ。

こちらでも、その読みを採用したい。



俗世を捨てて
人里離れた山奥に居場所を求めたけれど、
物悲しい鹿の鳴き声を聞いたら
「とうとうこんなに寂しいところまできてしまった」と切なくなった。

一人になりたくてやってきたけど、
やはり独りの寂しさが身に沁みる…。

秋はなんて悲しくなる季節だろうか。

わたしの身がますます悲しく思われる。



隠遁者の孤独に思いを馳せると、
この歌の世界観にグッと引き込まれる。

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