和歌・藤の花のようなあなた
「かくしてそ人の死ぬといふ
藤波(ふじなみ)のただ一目のみ見し人ゆゑに」
万葉集巻12・3075 よみ人知らず
(このようにして人は死ぬという。
藤の花をひと目だけ見たように、
ただ一度だけ逢った人ゆえに。)
藤の花は
ゆらりと垂れ、
ふわりと風に
優雅に揺れる。
紫色のカーテンが影を作るさまは
まるで幽幻の世界に咲く花。
そんなふうにふわりと
まぼろしのように
私の目の前に現れた、
藤の花のように
美しく優雅なあなた。
一度だけ逢ったあなたゆえに、
わたしは今にも死んでしまいそうです。
人はこのようにして、
死んでいくのですね。
恋焦がれるあまりに。
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