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和歌・恋という名の色

「世の中に恋といふ色はなけれども
 ふかく身にしむものにぞありける」
 和泉式部
(この世の中に「恋」という色はないはずなのに、じんわり深く沁み入るものが恋というものなのね。)

恋をすると、 
わたしの心は
恥じらいと浮き立つ喜びで
ほんのり薄紅色に染まる。

恋をすると、
わたしの心は
愛しさゆえに
燃えるような真っ赤な色に輝く。 

恋をすると、
わたしの心は
烈しい嫉妬の感情のせいで
真っ黒に塗りつぶされる。

恋をすると、
わたしの心は
じわじわ襲ってきた悲しみで
灰色に曇る。


恋という名の色があるわけでもないのに、
まるで何かに染められたかのように 
じんわり沁みてきて、
心は彩られる。

まことに不思議なもの。

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