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和歌・あはれを感じる秋

「心なき身にもあはれは知られけり
 鴫(しぎ)立つ沢の秋の夕暮れ」
 西行 新古今和歌集
鴫がいっせいに飛び立つ沢の
秋の夕暮れを見ていると
しみじみと感慨深くなるものだ。
世を捨てて
あれこれ思う心を捨てたつもりの
出家の身だが、
あはれを感じる心はまだ残っていたのだなぁ。
秋の夕暮れにそれを知ったことだよ。


「おしなべてものを思わぬ人にさへ
 心をつくる秋のはつかぜ」
 西行 新古今和歌集
秋の風が吹き出す頃は、
ふだん何かを深く感じることがない人にさえ
物思う心を呼び起こさせるよ。


西行はよく言ったものだなぁ。

秋は「あはれ」を感じる季節。
物思いをする「心」を呼び起こさせる。

昔の人も同じように感じていたのだと知ると
この寂しい季節に少しだけホッとできる。

日本人は四季の移ろいとともに
自身の心の揺れ動きを見つめてきた。

和歌を通して
いにしえの人と心を一つにすると、
わたしも彼らと同じように命を受けて
この世界に生きているんだなぁと感じる。

いにしえの人の足跡をたどり、
わたしも自分の人生を歩んでいこう。

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