和歌・どうしてわたしを捨てたの
「物思へば沢の蛍もわが身より
あくがれ出づる魂かとぞ見る」
後拾遺集・和泉式部
(物思いをしながら眺めれば、沢の蛍が、この身体から離れて漂っていったわたしの魂のように見える)
どうしてあなたはわたしを捨てたの。
いくら考えても、答えは出ない。
あなたを失ったわたしは
空っぽのがらんどう。
ぽっかり空いた心に、
あなたへの愛しさだけが残っている。
物思いにまかせて
ぼうっと眺めていると、
一匹二匹三匹…と
蛍が飛びかっている。
わたしの魂が
ふわりふわりと
この身体から離れて漂っていったよう。
行き場のない想いが
あてもなくさまよっているわ。
まるで幻のように綺麗。
この美しい魂のまま、
あなたのもとへ飛んで行けたらいいのに。
かなわぬ夢だけれど…
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