U23の軌跡~5年間を振り返ろう~ガンバ大阪U23編
みなさんこんにちは。DAZNでサッカーやバスケットの中継を実況担当している能政と申します
2020年シーズンをもってJリーグのJ3リーグに参入していたU23の活動が終了しました(主にガンバ・セレッソ・FC東京の3チーム)
2017年にDAZNがJリーグと10年間で2,100億円の大型契約を結ぶとそこからJ3リーグも全試合配信となりました(当時からJ3リーグのみ実況1人)
関西在住の私はガンバ・セレッソ両チームのU23の担当も多く、個人的な思い入れもありました。今年で活動が終了するU23チームについて歴史と流れを綴りたいと思います。今回はガンバ大阪U23(天皇杯もあるので)セレッソ大阪U23は後日お伝えしていきます(FC東京の4年間も綴れれば・・)
ガンバ大阪U23の担当試合(ホーム&アウェイ含む)
2017年:2試合
※この年はユースカップの準決勝ガンバ大阪VS川崎フロンターレを担当
2018年:1試合
※この年はトップチームの宮本監督が就任した初采配試合を担当
2019年:1試合
2020年:7試合(キャリアハイ)
※今年はトップチームのガンバ大阪VSサンフレッチェ広島戦も担当(7月22日の第6節)
ということで4年間で11試合を担当しました
実況者はオファーを選べないので、いろんな理由はありますが今年が特に多かっただけに記憶に新しいところは大いにあります
同時にJ3の担当が多いので良く試合を見ています(過去4年間でJ3リーグは57試合担当)
私はJ2やJ1の担当もカテゴリー跨いであるため移籍先の選手を目にすることも多く、そうした意味でも親近感が強いのかもしれません
ここからシーズンごとの成績や活躍していた選手を紹介
※順位表はJリーグ公式HPより引用しています
2016年のガンバ大阪U23(10勝8分12敗の9位)
U23のチームが初めて参入した2016年。U23勢の中では9位と健闘。2度の3連勝や昇格した栃木に完封、鹿児島に6-1など随所に強さを見せました
セレッソ大阪との、初のU23同士の大阪ダービーではホーム戦で8,038人を集めました。前半に岩下の退場などがありましたが、呉屋や高木彰人のゴールで2-1の勝利
現在ドイツ・ブンデスリーガで活躍する堂安律選手はこの2016年のみU23でプレー。21位試合で10得点7アシストと成果を出し、翌年はJ1リーグでも10試合3得点と結果を出しオランダのフローニンゲンに移籍しました
2020年シーズンの最終節では堂安シートを提案する等、U23で培った意味や意義を1人の選手として伝えてくれました
2017年のガンバ大阪U23(7勝5分20敗の16位)
この年は開幕から5連敗。シーズン途中も8連敗を含む10試合勝利なしと厳しい状況もあった。その中でも終盤の11月は2勝2分けと接戦を制し意地を見せたシーズンでもあった
この年からJ3リーグでもDAZNの中継がスタート。担当した試合は4節のアウェイ琉球戦と10節のホームセレッソ大阪U23戦でした
アウェイ琉球戦は現在の長崎でも活躍する名倉の2ゴールと富樫のゴールで琉球が3-0の勝利。そしてU23の大阪ダービーでは前半だけですがパトリックが先発するなどのサプライズがあったことは印象に残っています(この試合は0-0のスコアレスドロー)
この年は一美が8得点と3得点が5名(高江、森、食野亮太郎、妹尾、郡)でした。今季J1でもプレーした奥野(9月10日 J3第22節 vs沼津)や今季U23で活躍しトップチームでの活躍にも期待がかかった白井(17年3月12日 vs鳥取戦でJデビューし10月7日 J3第26節 vsC大阪U23でJ初ゴール)谷や芝本も2種登録でこの年にデビューを果たしている
食野亮太郎はこの年J1デビューこそなかったがトップチームでもベンチ入りを果たし、初瀬や堂安、高木彰人、呉屋(翌年徳島へ)などはU23を2016年に経験しつつトップチームでも試合出場を果たした
2018年のガンバ大阪U23(13勝8分11敗6位)
この年は歴代最高順位となる6位で着地。最多の連勝は2連勝のみも、連敗も2連敗が最長で、敗戦を引きずることなく戦い切ったシーズンだった
この年はシーズン途中で宮本監督がトップチームに就任し、7月23日に實吉監督がU23の指揮を執ることになった
この年リーグ全体では琉球が当時最速でJ3優勝と昇格を決め、鹿児島も悲願のJ2昇格を勝ち取った。北九州や藤枝は下位に沈むも2019年の躍進は記憶に新しいかもしれない
この年は、11月4日の富山戦を担当。西野のゴールで先制するも、追いつかれて同点で試合終了。CKで西野の体に当たってゴールしたのが非常に印象に残っています
2018年シーズンはユースからは、谷・芝本、白井が昇格。そして山口や松田が高卒ルーキーとして加入しJリーグデビューに加えU23で主力としてプレー(山口は高木彰人に次ぐ31試合、松田は24試合)
もちろん開幕戦でJ1デビューを果たした福田 湧矢(スタメン)や中村敬斗(途中出場)を含めJ1リーグでプレーした選手も多い(高は12試合、食野亮太郎11試合、高江・一美は9試合)
福田はU23ではこの年22試合3ゴール、中村は15試合4ゴールとJ3リーグでも存在感を見せた
この年U23では一美が21試合8ゴール、妹尾が6ゴール、高木彰人・食野亮太郎がそれに次ぐ5ゴールをマーク
恐らく歴代で最も2種登録の選手が出場しなかったシーズンかもしれない。既存のチーム内でJ1⇔J3でプレーし、ここからステップアップした選手も多かったシーズンだった
初瀬は翌年に神戸、一美は京都、徳島でプレーしていた呉屋は長崎へと移籍した
妹尾は長野、井出は山形、西野は讃岐、森は水戸へ移籍
2019年のガンバ大阪U23(9勝8分17敗で17位)
2019年は2種登録の選手が多く出場し、リーグを戦う上では結果として厳しいシーズンになった。しかしながら2020年に活躍した唐山、川崎、塚元、中村仁郎など2種登録の選手の活躍が光ったシーズンでもあった
2019年は7月21日のU23の大阪ダービーを担当。ヤンマースタジアム長居で行われた一戦で、2種登録の中村仁郎・大串のJデビューそして高木彰人のハットトリックに松田のJ初ゴール含めて記憶に残っているU23の大阪ダービーの一戦でした
シーズン途中で移籍する選手も多く、呉屋(⇒長崎)、野田(⇒山形)、市丸(⇒岐阜)、中村敬斗(⇒トゥエンテ)、高木彰人(⇒山形)、食野亮太郎(⇒マンチェスターC)、高(⇒山口)
食野亮太郎はJ1で公式戦17試合5ゴール(U23でも8試合8ゴール)や高木彰人もU23で11得点と2桁得点をマーク。唐山も最年少ハットトリック(16歳と345日)の記録も打ち立てる8得点と唐山は2種登録の選手ながら、来季のトップ昇格(飛び級)を勝ち取った
この年は奥野がユースから昇格。J1デビューはなかったが、U23で、23試合に出場し1ゴールの結果を残し、翌年の2020年ではJ1,J3ともに存在感を出した
2020年のガンバ大阪U23(9勝8分17敗で14位)
U23の活動は今季で終了。FC東京U23は東京オリンピックの兼ね合いもあり会場の都合で参加を見送り。2020年はガンバ・セレッソの両チームのみがU23として参加することになった
コロナ禍の中で開幕が延期になり、トップチームと共にU23も中3日などタイトに戦うシーズンとなった。結果的に2019年のシーズン同様に2種登録の選手が出場機会を増やしたシーズンはリーグの順位では14位でしたが、ルヴァンカップを含めてトップチームでプレーする選手も増えた
飛び級で昇格した唐山をはじめ、2019シーズンに活躍した川崎や塚元がこのシーズンからトップに昇格しプレー。3選手全てJ1リーグでのスタメンデビューを果たすなどU23とトップチームとの循環を改めて感じさせるシーズンになりました
2020年シーズンはガンバ大阪U23の担当が過去最も多いシーズンでした。総計で7試合を担当しました
個人的に印象に残っている試合はホームで3-0と勝利した相模原戦。そして最終節の岐阜戦。スコアレスドローに終わりましたが、担当したガンバホームでのセレッソ大阪U23とのU23大阪ダービーを担当できたことが良い思い出になりました
2020年シーズンは2種登録の選手がU23では活躍し、U23を主戦場にしていた選手が飛躍したシーズンだったのかなと思います
2種登録の選手の今季のU23での出場試合と得点を見ても(出場試合・得点)
伊勢(27試合・1得点)、村上(23試合・0得点)、菅野(23試合・1得点)、當麻(22試合・0得点)、荻野(15試合・1得点)、中村仁郎(15試合・2得点)、坂本(11試合・3得点)
※10試合以上プレーした選手を抜粋(登録された13名のうち7名が10試合以上プレー)
この中でも中村仁郎はトップチームでもデビューを果たしシュートも打った
トップチームでも出場した選手も多く
唐山はリーグ戦で7試合(カップ戦では2ゴールも)、川崎は15試合、奥野7試合、塚元6試合、松田・黒川2試合、芝本1試合プレーをした
山口は出場こそなかったがベンチ入りする試合もあり、今季での成長を感じさせてくれました
そして個人的には今季の白井陽斗選手は高いパフォーマンスがあっただけに、怪我が残念でありませんでした。来季以降復帰してより高い成果をピッチで表現してくれることを楽しみにしたいと思います
その一方で山本や高尾は大卒ルーキーとしてトップチームとして主力でプレーをしており、2種登録でプレーしたユースの選手にとっても大学を経てまたトップチームやそのほかのチームと契約しプロ入りを勝ち取る選手たちが数年後出てくることを楽しみにしたい(来季誰が昇格するかも注目したいところですね)
サポーターの方にとってはこうした若い選手の台頭は楽しみでもあり、感慨深いものもあったのではないでしょうか?昨年2種登録でU23を舞台に活躍した選手が今季はJ1を舞台に堂々とプレーする試合もありました
ガンバは今季J1リーグ2位でフィニィッシュし来季はACLもあり、コロナ禍の中で変則的かつタフなシーズンになるのは間違いないと思います
4チームがJ2へ降格するレギュレーションの中で、タイトルを目指しつつもどのような総力を高め戦うかは注目したいところですね
振り返り動画に詰まっている想い(2016年~2020年)
ラストのホーム岐阜戦(最終節)は2-1の勝利で終えました
立ち上がりに山口のクロスに唐山がニアで受けて、こぼれたボールを高木大輔が決めて先制。その後一点返されて同点にされるも、前半の終盤に唐山、中村仁郎、川崎と今季トップチームでスタメンでもプレーした3選手が絡んで得点を決めて勝ち越し勝利を収めた
試合終了はセレモニーも行われ、タビナスジェファーソン、山口、森下監督がサポーターに言葉を届けた
特に2018年から在籍しJ3で3シーズン主力で戦った山口選手は涙ながらにU23でのプレーやその意義を振り返ってくれた(動画はこちら)
※この試合担当だったのでこのスピーチには泣きそうにもなりました・・
その後あ5年間の振り返り動画がパナソニックスタジアム吹田で上映され、当時を懐かしんだ関係者やサポーターの方もいらっしゃたでしょう
5年間でU23でプレーした主な選手たち
全て上げるときりがないですが、何名かピックアップしてみました
堂安律(U23:21試合 10得点)2016年のみ
中村敬斗(U23:21試合 5得点)2018-19の2年間
食野亮太郎(U23:67試合 17得点)2016-19の4年間
芝本蓮(U23:105試合 6得点)2017-20の4年間
山口竜弥(U23:92試合 3得点)2018-20の3年間
松田陸(U23:78試合 1得点)2018-20の3年間
白井陽斗(U23:87試合 12得点)2017-20の4年間
唐山翔自(U23:33試合 18得点)2019-20の2年間
川崎修平(U23:43試合 10得点)2019-20の2年間
塚元大(U23:46試合 8得点)2019-20の2年間
中村仁郎(U23:33試合 5得点)2019-20の2年間
高木彰人(U23:73試合 17得点)2016-19年の4年間
一美和成(U23:75試合 19得点)2016-18の3年間
市丸瑞樹(U23:58試合 1得点)2016-20の5年間
過去の試合数でいうと最も出場試合が多いのは芝本選手で105試合
捉え方は様々でトップで出場が叶わなかったとも取ることもできれば、それでも継続した試合に出ていたという部分もあるかと思います
それでも改めて見ても、U23から飛躍した選手や、今後が楽しみな選手も多いですね
得点で見ても2年間で18得点は改めてすごい数値の唐山選手。J1でのブレイクも期待。まだまだ若いのでこれからの成長が楽しみです
U23の意義は?
かかるコストや多くの部分で見たときに賛否両論はあると思います
それでもU23というチームがガンバだけでなくセレッソ、FC東京と若手の台頭含めて私たちを楽しませてくれた部分は大いにあったのではないかなと
実際にU23でのプレーを経て海外やJ1、他チームに移籍し成果を残している選手も多くいますし、2種登録としてユース年代からプロの選手たちと同じ場所で戦う経験を積むことができた事も彼らや関係者にとってはかけがえのない経験になったでしょう
これから各選手の来季について発表もあるかと思いますが、願わくば1人でも多くの選手がトップチームや他チームでも活躍することを楽しみにしています
先日の天皇杯を勝利したガンバ。まずは元日の川崎との一戦2021年最初の注目カード楽しみにしたいと思います
☆読んでいただきありがとうございます。個人としての意見ですがデータなど誤りがあればこっそり教えてください‥
2020シーズンの振り返り(個人的な)もよければどうぞ・・
セレッソ大阪U23の振り返りはこちら
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