1週間で開業して廃業した話。(後編)
青天の霹靂(続)
契約先と真っ向勝負。
研修が終わり、業務内容や報酬についての話が進むにつれて、おかしいと思う部分がどんどん露呈していった契約先。
何度も話が二転三転し、温厚でおなじみ私もさすがに思った。
『これでは埒明かない、お金は欲しいがこんなところで自分の時間を摩耗しないといけないほど困ってはいない…』と。
いやでも開業届、出しちゃったよ、ブルーな確定申告をすると腹括っちゃったよ、、、。
と、悩み、絵に描いたように頭を抱える私。年下彼氏にも相談してみて導き出したひとつの言葉。それは「今ならまだ間に合う」だった。
今ならまだ間に合う。
こんなに振り回されて、誠意ある対応や説明もなかったんだぞ?こんなところにていいのか?開業届がなんだ、今ならまだ何も始まってない!全然引き返せるだろう!私はなんだって出来るんだ!
かくして私は、すべてを一度ゼロに戻すことに決めたのであった。これはとても勇気のいることではあったが、これで後になってから引き返せず、大事な時間をただただ消費してしまうことの方が怖いと思った。その気持ちを大切にしたかったのだ。
そしてバチバチに契約先とやり合い、理解してもらい、契約破棄を勝ち取った!
廃業届を出した日。
開業届、取り下げられるのか問題。
悩み事というものは、ひとつ解決してもまたひとつ、どこからともなく登場し、我々の顔を曇らせるものである。これは人間の宿命なのだなと思う。
だって、契約をなかったことに決めてやっと悩み解決!と思ったのに、開業届って取り下げられるわけ?という問題が、彗星のごとく私の前に現れたのだ。(そりゃそうだ)
開業届を提出してたった1週間。正直取り下げられるる可能性は高い気がするが、なんか恥ずかしい。そもそもこの事情、分かってもらえるのだろうか…。
そのときの私は不安で潰されそうだったが、もう突き進むしかない。私に残された道は、目の前のことひとつひとつに対処し、その先で自分にとって最高の会社に正社員として入社し、活躍することなのだから…!
決意を固めた私は、最強の「開業届取り下げマシン」と化し、黙々と取り下げについて調べ、淡々と税務署に問い合わせてみた。
「ずばり開業届、取り下げていいっすか?」と。
電話で対応してくれたおじちゃんの回答は、
「取り下げはできないから、廃業届を出してねぇ」だった。
つまり、開業して1週間で廃業したことにしよう。その間お金はもらってないから大丈夫、実質取り下げやで、ということだ。
なるほどそれでいいのか。しかもその廃業届は開業届のときと同様、e-taxで提出できるらしい。肩の荷が下りたような気がした。
しかしその日はPCがへそを曲げており、e-taxでの提出が出来なかったため税務署に直接行ってみることにした。
開業と廃業を同じ日にして取り下げ扱いにした方がいいのかな?理由とかやっぱりちゃんと記入しないとだよね?確定申告は青色で、って承認の紙出したしそれも下げなきゃだよね?など、とにかく聞きたいことがいっぱいあったし、不安だったのでそれをすべてぶつけて不安を解消し、あわよくば一緒に書類を書いてもらう作戦だ。
実際に窓口で質問をぶつけていると、「別に開業と廃業の日にちは同じにしなくていいですよ。理由も別にそんな書かなくていいですよ。お金も発生してないし、いいですよ、ただこのテンプレ通りに廃業届書いてくださいね~」という何とも拍子抜けする返答だった。
Oh…まじか…。
あっけなく廃業届を提出し、開業して廃業するを1週間でやってしまった。しかしその実感はあまりなかった。私にとってはかなりの大ごとだったが、税務署の人にとってはどうやらそうではないらしい。
教訓
焦ってもいいことはない。
この経験で得た教訓はずばり、焦ってもいいことは何ひとつない、ということだ。うつヌケしたててで、勇み足だったというのもあるが、社会人たるもの、ひとつひとつ熟考する癖をつけるべきだと感じた。
また、正直「いろいろどうにかなる」ということも学んだ。これらの出来事を過ごした2週間ほどの間は、ピグレット並みに毎日どうしようどうしようと怯えていたが、そんな重く捉えすぎる必要はなかった。もっと落ち着いて、と過去の自分に言ってあげたい、切実に。
大事なのは然るべき機関に相談し、然るべき対応をとることだ。怯えて時間だけが過ぎていくことの方が怖いのだ。
ご利用は計画的に。
私のようなヘマをする人は希有だとは思うが、これからフリーランスとしてやっていこうと思っている方がいるのであれば、よく考えてから行動していただきたい。ただ、やっちゃったな、、、と思っている、私と同じような境遇の方がいるのであれば、とにかくお住まいの地域の然るべき機関に問い合わせてもらいたい、今すぐに、だ。こんな記事はさっさと閉じて!!
今回は開業届を出してたった1週間だったことや、その間に報酬が発生していなかったためどうにかなった、というのは正直ある。しかしこの経験での教訓として肝要なのは、どんな時も「今ならまだ間に合うかもしれない」という気持ちをもって行動するべきということだ。
何か問題が起きたとき、「今」がいつだって一番解決できる可能性が高いのだ。
正解にするために。
とはいったものの、今回のこの行動が正しかったのかはいまいちわからない。第一、税務署の窓口で最初に対応してくれたおばちゃんが全くお話にならない、話が通じなさすぎる方だったためイライラしたので、くそ~e-taxで後日やればよかったぜ、、、と思ったし。
ただ、もうこれでよかったのだと思うしかない。
就活し、正社員としてやっていきたいからこんなフワフワした会社とは契約切ってやる!と決断したこの道を、正解にしていくしかないのだ。
私は物事の「意味」や「正解」を、常々自分に問う癖があるのだが、最近は、その答えは後からみえてくるから、今は愚直にそれを正解の道にしていくしかないよな、と思うようになってきた。
この価値観がちょっとずつ変化していく感覚も、いい方向への変化なのかよくわからないが、そんなもの誰も知る由がないのだ。
自分を信じて今はやっていくしかない。そんなことを思う今日この頃。
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