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時間制限ナシ! 写真撮影OK! アートを見て触れて楽しむ世界旅行 前編(大塚国際美術館|徳島県鳴門市)

曇天日和が続く毎日、まさに梅雨らしいお天気ですね。こういうお天気の時には、心が落ち着く美術館で感性を磨くのがオススメ。

というわけで、高校の遠足以来、人生2度目の大塚国際美術館へ行ってきました!

駐車場に車を停めて、無料のシャトルバスで大塚国際美術館の建物入口へ向かいます。

チケットは建物入り口でも販売していますが、インターネットで購入すると少しお安く入手できますよ。支払い方法は現金とクレジットカードが利用できるそうです!

こちらが入館券販売横にある入口。25周年になるんですねー!


こちらの入口をくぐって、チケットを受付で提示したら"約41mのエスカレーターを上って"、地下3階へ。んん??エスカレーターで41mも上がってきたのに、地下3階......。不思議に思いませんか?笑


それというのも、大塚美術館はなんと!
山を削って建物を建てて、その後に土を被せてから、木が植えられているんです。なので地下3階から地下1階までは山の中に建物があるという面白い構造になっています。

なぜ、こんな構造なのか。

それは、この場所が「瀬戸内海国立公園」内の立地となるということで"高い建物を建ててはいけないなどの建築制限があり、山を削るしかなかったから"というのが理由です。だからといって、山を削るとは...発想がなかなか凄いですよね。笑

ちなみに、1Fとなる本館と別館の連絡通路にはこんな素敵な庭園もあるので、是非足を延ばしてみてくださいね。

さあ、始まりの地点。

地下3階の入り口に到着すると、まず最初に目に飛び込んでくるのは「システィーナ・ホール」。天井と正面の壁画が空間ごと再現されています。


▼システィーナ礼拝堂天井がおよび壁画(ミケランジェロ)

ローマ・ヴァチカン市国にある、ミケランジェロの作品ですね。
約500年前に描かれた作品とされているので、日本だと安土桃山時代くらいになるのかな?

この正面にある「最後の審判」の大きさは、幅13m×高さ16m。「天井画」に至っては、高さ14mの位置で、横20m×奥行きは40m。この広さにもかからず、弟子を使わず、足場を組みながらほとんど一人で描いたというのですから、驚きしかありません...。


「最後の審判」では、左上には天国へ昇る人。右下には悪い行いをしたとして地獄に堕ちる人が描かれます。そして、中央上部に描かれるキリストと横に控えるマリア様。その右下には、「最後の晩餐」にも登場するキリストの弟子のひとり、聖バルトロメオが描かれます。
この聖バルトロメオは、亡くなる際に拷問を受け、全身の皮を剥がされ、亡くなります...。実は、こちらの絵は、そのエピソードを汲んだ絵となっており、右手にはナイフを。左手には剥がされた自分の生皮を手にしているのです。
ちょっと、ゾッとするお話ですよね。。。

でも、"剥がされた聖バルトロメオの生皮"の顔。ここのお顔が注目ポイントなのです。

実は、ミケランジェロさん、ここに自画像を描いたと言われています。なぜここに?!と思う気持ちもあれど、その意味を自分なりに考えて、自分だったらどんな思いでここに自画像を残すかな...と、心を寄せてみるのも一興ではないでしょうか。

また「天井画」は、旧約聖書の「創世記(神が世界を作る)」の9つの場面が描かれています。

神が「光あれ」と言うと、光と闇が創造され。次に神は、太陽と月と植物、大地と水が創造し。そして、人類をも創造します。

この時の、神がアダムに命を吹き込もうと手を差し伸べる「アダムの創造」のワンシーンが非常に有名な絵であり、某宇宙人と人間が友情を築き、心を通わすあの某映画の名シーンの原案となったとも言われています。

その後、禁断の果実を口にした人類の堕落と、方舟で逃げるノアの一族...。そんな知識とすり合わせながら、絵を眺めていると、その描き込みの丁寧さに時間を忘れて見入ってしまいます。


ちなみにこの場所は、徳島県出身の歌手 米津玄師さんが2018年に紅白歌合戦にて「Lemon」を歌唱したステージでもあるんですよ~(Lemonのジャケット写真も陶板になって飾られてあります!)。

さあ、そんなこんなで、夢中で見ていたら、どうしましょう。まだ美術館に入って1つ目の作品、システィーナ礼拝堂だけで、早くも30分が経過してしまいました。笑



ところで、"日本一入場料が高い美術館"ともいわれる「大塚国際美術館」ですが、その歴史や特徴はご存じですか?


1998年3月に開館した「大塚国際美術館」。
9,000坪という広大な敷地内には、世界26ヵ国190あまりの美術館が所蔵している西洋名画を1,000点以上を展示しています。

つまり、本来ならば、世界26ヵ国190あまりの美術館を巡らなければ見られないはずの美術品が、この「大塚国際美術館」という一か所で見られるという奇跡的な場所なのです!

大塚国際美術館の特長は、以下の2点があげられます。
(1)展示作品が全て「陶板」という陶器の板で作られていること
(2)原画と同じ大きさ(原寸大)に再現していること


なぜ「陶板(とうばん)」なのか?

元々、鳴門ではとても質のいい砂が採れることで有名で、当時からセメントの材料などにも多く使用されていました。「せっかくの地元・鳴門のいい砂を、もっと役立てる方法はないか?」と陶器・タイルを作る技術を磨いた結果、大きなタイルを作る特殊技術を確立します。この技術を有するのが、1973年設立、大塚グループの一つ「大塚オーミ陶業株式会社」という会社です。

そんな折、1998年4月の大鳴門橋(鳴門海峡大橋)の開通を控えた徳島県の入口に観光施設を作りたいという思いもあったことから、大塚グループの名のもとに大塚オーミ陶業株式会社の陶板技術を用いて、原寸大の有名絵画を陶板で再現した美術館が作られることになりました。

入念な原画の分析を行い、陶器の板に、原画に忠実な色彩・大きさで作品を転写し、約1,300度の温度で焼き付けます。細かい部分は技術者の手仕事により、作者の筆遣いを徹底再現できるようにリタッチを繰り返し、完成させていきます。そうして、出来上がった作品が飾られているのが「大塚国際美術館」というわけなんですね。


さて。
鑑賞ルートに戻ります。


全長約4Kmの美術ロード!
まず向かったのは、ぜひ見たかった最も有名な古代絵画と言われる「ポンペイ遺跡 ディオニソスの秘儀の間(秘儀荘)」。


▼ディオニソスの秘儀の間(秘儀荘)

「ポンペイ遺跡」、ご存じですか?

「ポンペイ」は南イタリア、ナポリ近郊に位置し、当時人口2万人がいたとされる古代商業都市です。約2000年前、そんな文明都市「ポンペイ」を悲劇が襲います。ウェスヴィオ火山の突然の噴火に見舞われ、たった一夜にして街や住民ごと火山灰に埋もれてしまったのです。そう。「ポンペイ」は滅びてしまった都市遺跡なのです。

この厄災から1,700年ほど経った18世紀、井戸を掘っていた農民が大理石の柱を発見したことが発端でこの付近の調査が始まります。そして。1748年、古代都市遺跡として、ほぼ完全といえる状態でポンペイが発掘されます。

そして、そこで発掘された美術品が、その当時のイタリア美術よりも遥かに精度が高かったことで、「描かれたのが紀元前と考えられる中で、これだけの技術をもって文明を築いていたってどういうこと...!?」と、世の中に衝撃が走ったんです。


そんなポンペイ遺跡の中から見つかった秘儀荘とは「秘密の別荘」という意味。

その当時、ローマで禁じられていたディオニソス教をこっそり内緒で信仰するための建物でした。

特長は、鮮やかな赤色をバックに、左から順にディオニソス神への入信場面を描いた連続画となっていること。この背景の赤色は、単なる赤色の絵の具ではありません。「ポンペイ・レッド」と呼ばれており、元々は黄色い壁であったものが、火山噴火と噴出ガスによって、赤色に変化したと考えられています。


本物のあるイタリア現地では、洞窟の中に入る事は難しくなっておりこの作品を見ることはかなり困難です。が、この大塚国際美術館ならば間近に迫って観賞できるという素晴らしさ...!!

ご覧ください。

この、ひび割れている質感まで、しっかりと再現されています。


歴史が作り上げた美術品を、こうやって、後世の自分が見られていることが不思議で、有難くて、歴史を考えると胸が痛むし、火山噴火がなければ世界はどう変わっていたのだろうと考えたり、いろんな思いが巡ります。



さて、この調子で作品のご紹介をしていると、ちょっとキリが無さそうなので。汗
ここからは一部厳選し、なるべく簡潔にご紹介していきますネ...!


▼アテネの学堂(ラファエロ・サンティ)

レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロと並ぶ盛期ルネサンスの3大巨匠の一人、ラファエロ・サンティにより描かれた、ヴァチカン宮殿「署名の間 (Stanza della Segnatura)」の壁画です。
ルネッサンス芸術における最大の発明「遠近法」が用いられたことから、それまでの平面的な絵から劇的な変化を遂げ、豊かな奥行きを感じられる作品となっています。


▼オフィーリア(ミレイ、ジョン・エヴァレット)

シェイクスピア著「ハムレット」の作中で、ハムレットに冷たく扱われ、発狂したオフィーリアが川に落ちて亡くなる様を描いています。解説も添えられており、植物の持つ花言葉ともいう意味を意識しながら見ると、また一つ深く作品を味わうことができます。

偶然にも、わたし自身、ちょうどハムレットを読んでいる最中だったので。この絵の存在を知ってはいたものの、まさか「ハムレット」の作中のワンシーンを描いていたとは知らず、現地で知って。かなり興奮してマジマジと見ちゃいました。
ちなみに、イギリス留学中にこれを見た夏目漱石がこれを「風流な土左衛門」と称したという逸話があったりします。笑。


▼ゲルニカ(パブロ・ピカソ)

1937年4月26日、ピカソの生まれ故郷スペインの小さな町ゲルニカがナチス・ドイツ軍の空爆によって、無差別爆撃に遭ったという悲しい知らせを聞き、戦争への抗議の意をこめてたった1か月で描きあげた作品です。

教科書で見たことがあったけれど、実物寸のその大きさにビックリ。
想像の3倍は大きい...。

どこか暴力性を感じ、無彩色で描かれたこの絵は......正直、ネガティブな要素を強く感じ、見ていると辛くなります。いかにピカソが強烈な意志を以て、この絵を描いたのだろうか、と。故郷が壊される気持ちを、もう金輪際味わう人がいなくなればいいのに。。。


▼モネの「大睡蓮」(モネ)

同じ風景を、時間帯や視点を変えて何度も描くという表現方法が、個人的にも大好きなモネの作品。そんなモネの「大睡蓮」が所蔵されているフランス オランジュリー美術館では、室内で展示をされている本作品なのですが、大塚国際美術館では屋外展示!

実はモネはこの作品を自然光の下で鑑賞して欲しいという思いを持っていたんだそうです。とはいえ、絵では耐久性の問題から叶わない、その願い。
ですが、強い耐久性ある「陶板画」展示である大塚国際美術館ならば、叶うんです...!!まわりの山や木々と溶け合うようなこの楽しみ方は、この場所ならではの体験です。



簡潔に、といいつつ全然簡潔に納められていませんね。スミマセン。汗

まだまだご紹介したい作品があるのですが長くなってきてしまったので。今月はひとまず、ここまでで。この続きは次回!

コトバスエクスプレスの降車場所となる「JR徳島駅」からタクシーにて約35分で「大塚国際美術館」に到着しますよ。

※詳しい情報は外部サイトをご確認ください。

【大塚国際美術館】
所在地 〒772-0053 徳島県鳴門市鳴門町土佐泊浦字福池65-1
営業時間 9:30~17:00
定休日 月曜日、1月は連続休館あり、その他特別休館あり、8月無休
サイト https://o-museum.or.jp/
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