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介護劇場

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高齢者が主人公。振り回されるぼく。介護・介護現場ので起こる出来事をおかしく描写して感じたことを綴っています。
運営しているクリエイター

#認知症

スリリングなコミュニケーション

なんやら最近ね、 次のステージを目指しなさいって言われてるきがして、 重い腰を上げてまた…

机にめり込んだ頭

早弁でもしているのか。 頭を机にめり込ませ俯き微動だにしない。項垂れている人間なんてめっ…

デイサービスのレクリエーションにいつも頭を悩ませる

みんながみんな、平等に楽しめるレクリエーションってあるのだろうか。 デイサービスや介護施…

視界から消していく

テーブルの上にある、目の前にあるモノが気になって仕方がない。 「なんやコレ?」 「白くて…

ファンをつくる方法

ぼくと同じ歳くらいの息子と一緒に暮らしているらしい。 その人は、デイサービスに来た時に饒…

しろーく光が差しているだけ

その人は、玄関の方へ向かう。 壁にかけてある麦わら帽子を手に取り頭の上に乗せる。カバンの…

紳士的であるかのように

「何を馬鹿なことをいっとるんだ。貴様!どこの大学の出身だ!このクソたわけっ!」 ただ、「野球やってらしたんですね」ぼくはそう、喋りかけただけだった。 「俺はな、慶應義塾の野球部でキャプテンだったんだ。なにを馬鹿な質問をしとるかっ!このクソたわけっ!」 隣にいるぼくに、部屋の端まで聞こえる声量でその人は怒鳴り散らす。 無論、ぼくは怒らせるつもりなんて露ほどもない。その人の介護資料を見て、昔話を得意げに気分よく話してもらえればと思って話しかけたのだ。 まだ、続く「俺をな

尿の泡

その人のお尻は、子持ちししゃものお腹のようにプックリとしている。 確かに、お腹から何かを…

合計約4.5kg

デイサービスや介護施設に通っている高齢者の中には、本当にいろんな方がいる。 一人暮らしで…

ぼくの倍、人生を生きている方々

マタギ 日本料理店のオーナーシェフ その道40年のツアーバスガイド サッシ職人 日本舞踊の…

うんち、どこまで拭いたらいいの?問題

これは人によって結論が違うと思う。 排泄の介助をしていると、もう無限に出てくるのではない…

布パンツto紙パンツ

デイサービスの1日が終わるころ、 ひとりの利用者さんを浴室へ案内する。 この時間から入浴す…

痛むキスマーク

噛まれた。 飼い犬でなくピラニアでもなく、ワニでもなく。人に。 噛むとは聞いていた。 で…

ぽとり、うんち。

椅子から抱え上げた瞬間、その人の体が少し軽くなったような気がした。 気がしただけかと思いきや、たちまち匂いが立ちこめる。 湿度の高い浴室。窓を閉め切った狭い空間。匂いはあっという間にぼくたちを包み込んだ。 とっさに思うのは、自分の身を案じての「やばい」だ。そして状況が理解できてくると「便秘の苦しみから抜け出せたのか」と、相手に対して慈悲の心になる。介護者としての未熟さだ。ここは勘弁してほしい。 さて問題は、ぼくは未だその人を抱えているという現実だ。その人は当然足の自由が効