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読書感想文:自分をさらけ出せる人が羨ましい - 太宰治の津軽通信を読んで

最近太宰治の津軽通信という短編集を読んだ。

太宰治の代表作といえばた「人間失格」で、そのタイトルのように太宰自身も浮気や自殺未遂、社会でダメと言われることを全てこなしてきた日本を代表する「ダメ男」なのである。


それでも太宰のダメさに惹かれるのは、自分の方がまともだなというような優越感と言うよりは、人間くささが心が温めてくれるからだ。


私はその津軽通信の中でも短編「デカダン講義」という話に心が惹かれた。

短いのでぜひ読んで欲しいのだが要約すると太宰が幼い頃見た芸者、浪を忘れられず高校生になってその芸者を買うために働いていた割烹店にいくが、浪は男に騙されて温泉芸者になったという話を聞く。

三年後大学生になった太宰はその話を思い出して浪を探しに温泉場に向かい、浪を見つけるが浪は見かけがすっかり変わり、太って、ずんぐりして、ちっとも美しくなかった。それでも真のロマンチストの太宰は浪を口説こうとするが結局は振られてしまうという話だ。

太宰の経験を元にして書かれた実話である。

私の感想

第一印象は「うわ、恥ずかしい」

自分の恥ずかしい話をみんなに知られてしまったことを思い出した。


中学生の時初めて男の子に告白され、私が断ったことがある。

その男の子は「俺は告白なんてしてないのにコトハは勘違いしてる」なんていう嘘を広められたことがある。

私は自分が振られたわけじゃないけれでも自分が噂の中心にいることが恥ずかしかった。

その男の子がなんで噂を広めたかかはわからない。だけど、自分の恥ずかしい話をわざわざするなんて私からしたらありえなかった。


太宰の恥ずかしい体験もこのように文学として残して、死んでもなお読み継がれている。私だったら恥ずかしすぎて成仏できないと思う。

でも恥ずかしがり屋な私はm太宰のように自分を隠しきれない人に憧れがある。

文章を書いている時も、人と喋っている時もどうしても力が入ってしまい、本当の言いたいことがつっかえて出てこない。

「どうしよう、自分を知られるのが恥ずかしい」

と思うとぐっとブレーキがかかってしまう。

きっとブレーキを解除した先にはきっともっと面白い自分がいるのにまだ会えないでいる。

私は自分の恥ずかしいエピソードをわざわざ文学にしてしまう太宰が羨ましいと思った。

#津軽通信  #恥ずかしい #自己開示 #大学生 




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