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校閲と趣味の交差点|野球記事のスクラップ

今年のプロ野球ペナントレースもすでに半分が終わってしまいました。
日々の試合結果に一喜一憂している、ドラゴンズファンの稲垣あやかです。

今シーズンから、中日新聞校閲部内のドラゴンズファン有志でこんな取り組みを始めてみました。

題して、「竜しか勝たんノート」

といっても、ふつうの大学ノートです。
表紙には、中日新聞掲載のドラゴンズ選手・監督の写真をあしらいました

このノートに、中日新聞朝刊に載っているセ・リーグ順位表と、ドラゴンズのイニングスコアや出場成績などがまとまった表(「テーブル」と呼ばれます)を毎日切り抜いて貼っています。

開くとこんな感じ

つまり、このノートを見れば、ドラゴンズがどんな試合をして、セ・リーグの順位がどのように変動したかが一目で分かるのです。

このノートを作るに至った理由は、ファンだからというだけではありません。校閲の仕事にも生かすことができるのでは?!と思ったからです。

例えばこんなとき。

今季最多の…

2022年4月18日付 中日新聞朝刊 運動1面

4月17日、広島に快勝したときの「戦評」です。
冒頭の「今季最多の18安打」が正しいかどうかを日本野球機構(NPB)やスポナビのホームページから調べようと思ったら、1試合ずつ試合速報のページをクリックして確かめなくてはなりません。シーズンが進むにつれて、その確認作業は途方もない回数になっていきます。

しかし、このノートを使えば、ページをめくるだけでこれまでの試合の安打数が一覧できます。そのため、ホームページを用いるよりも確認作業にかかる時間が短くて済むのです。

ナイターゲームが多く、降版時間まで余裕がないことが多いプロ野球記事を校閲する際には少しでも時間を節約したいものです。なので、そういったときにこのノートが少しでも役に立てば…と思っています。

また、日ごとの順位表はこんなときに活用できます。

いつ以来の…

2021年9月8日 中日新聞朝刊 運動1面

昨シーズンの終盤、2021年9月7日に広島に惜敗したときの戦評です。ここに書かれている「5月28日以来の5位転落」を調べるのは、なかなかに厄介な作業なんです。

NPBやスポナビに掲載されている順位表は、日々の試合結果を反映して常に最新のものに更新されています。そのため、この手の情報はインターネット上から得にくいのです。

5月28日が5位だったことだけを調べるのなら、その日の試合結果が載っている過去の紙面を見ればよいですが、「以来」とついているので、それ以降はずっと4位以上であったことも確認しなくてはなりません。
この年の5月28日から9月7日までの間に行われた試合数は、なんと56
56試合分の順位変動を確認するとなったら、かなりの時間を要してしまいます。

そんなときに、パラパラとこのノートをめくれば、シーズンの始まりから順位がどのように推移していったのかが容易に確認できるはずです。
ペナント後半になり、今シーズンを振り返るような記事も増えてくるかと思います。そのときに、「このノートがあってよかった!」と思えることを願っています。

ファンならではの…

そのほか、空いたスペースには、切り貼りを担当した人の所感も書き込まれていたり。

若手選手の初記録や、その試合で誕生日だった選手がどんな活躍をしたか、などファンならではの愛あるコメントがたくさん。
ほかの人がどんなコメントを書き入れているのかも楽しみのひとつです。

まだまだ始めたばかりの取り組みですが、まずは今シーズン、途中でやめちゃうことのないように頑張ります。

前回に引き続き、今回も新聞スクラップの話になってしまいましたが、こちらの切り貼りは楽しいです(いまのところ)。
このほかにも校閲部には、業務の役に立つように日々切り抜きをしているものがいくつかあるので、それらについても折を見てご紹介できればと思います。