訂正記事から逃げちゃダメだ!新人時代の苦手だった仕事
どんな人にもやりたくない仕事というものはあるもの。校閲記者になって5年目になる僕にもどうしても苦手な仕事があります。
新聞校閲の仕事は記事の間違いを防ぐこと。そのためだけに存在すると言って過言ではありません。しかし力が及ばず誤った内容が掲載されてしまうことが…。
読者の皆さんには非常に申しわけないことです。誤りが判明した時は速やかに訂正記事を掲載します。
新聞を開くと、自分が担当した記事の訂正が目に飛び込んできて真っ青になる。校閲記者の誰もが経験する苦い経験かもしれません。
これがネットや資料を駆使しても校閲段階で防ぐことができなかったものならまだ気持ちの整理ができます。つらいのは確認不足が明白なものだったとき。
「どうしてもっと深く調べなかったのか」と後悔してももう遅いのです。新聞はウェブと違い後から修正できません。印刷されたら最後。何回見返しても言い訳しても取り返せません。
碇シンジよろしくつぶやくしかない。
「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ」
そんな新聞編集に携わる人なら思わず目をそむけたくなる訂正記事。集めて世にも恐ろしいスクラップブックを作る仕事が校閲部に存在します。名付けて「訂正スクラップ係」。(そのままです)
訂正スクラップ係は1年目や2年目の若手が担当することが多いです。日々の訂正記事を見ていればミスの傾向をつかむことができ、原稿を読む時どこに気を付けるべきかわかるからです。教材としてうってつけなので、新人研修では校閲採用以外の編集職の社員にも見てもらっています。
係の仕事は地道な校閲部の仕事のなかでもさらに地道です。中日新聞の記事を検索できるデータベースで訂正やおわび記事を検索し、その元となった記事とともにスクラップブックに貼る。そして訂正対象となった部分を蛍光ペンで目立たせます。
僕は新人の頃この係だったのですが、すこしサボるとたまってしまうこの作業に日々苦しめられ、碇シンジよろしく
「できるわけないよォ!」
と叫んでしまいそうでした。
当然、訂正が少なくなれば楽になるのですがなかなかそうはいきません。
訂正スクラップ、私の苦手な言葉です。
技術が発達した現代ですので、より効率的なやり方があるのかもしれません。しかし教育という面で考えれば視覚的に「多い」「少ない」がわかり、手作業で貼る手間があることで結果的にしっかり記事を読み込むことになるスクラップも意味があるのかなと、係を外れた今なら思えます。
自分が担当した記事の訂正が載ること。校閲記者として最も悔しく、恥ずかしい瞬間です。しかし転んでもただで起きず、失敗から学ぶためにあるのがこのスクラップブックなのだと思います。
ちなみに第弐話はありません。
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