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【0030】えむしたのこと「色褪せるほど鮮やかに美化されて」

 夏の終わりに、ふたりで線香花火をした。スマートフォンでふたつの火花が弾けているところを撮影し、「うたってみた」のミュージックビデオに実写動画として間奏部分に差し込んでもらった。動画は、えむしたで新しいYoutubeアカウントを作る検討もしたけれど、最終的にわたしのチャンネルにアップロードした。
 『常盤色化のわたしが、彼女と「夏の半券」うたってみた』

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ルームシェアをしながら、歌い手活動をしている「明日」と「えむち」。明日の部屋の一輪挿しが枯れ、花瓶の水が澱みはじめた頃、えむちはようやく今回の失踪が普段の気まぐれとはどこか違うのではないかと察する。不安は的中しており、明日の体には常盤色化と呼ばれる異変が生じはじめていた。植物の蔦を模したようなしみが皮膚に広がり、やがて全身を覆ってしまう奇病。一方、えむちはある事件をきっかけに人前で歌うことができなくなっていた。移り変わってゆく、彼女たちの季節を追う物語。

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