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008「最果ての季節」紗奈ちゃんのほんとうのお母さんは、四季さんなのよ。

 二人は、そこでしばらくお互いの距離を測っているように見えた。柁夫のくちびるが四時のくちびるに重なったとき、ようやくわたしはこれが、自分が見てはならないものだと気づいたのだった。
 くちづけは一度では終わらなかった。わたしの意識は、すっかり彼らに奪われてしまっていた。灯りに揺れる二人の影は、天井を覆いつくし、はだかの素肌なんかよりずっと艶めかしくわたしの目に映った。

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1,126字
学生時代にとある公募で一次審査だけ通過した小説の再掲。 まさかのデータを紛失してしまい、Kindle用に一言一句打ち直している……

❏掲載誌:『役にたたないものは愛するしかない』 (https://koto-nrzk.booth.pm/items/5197550) ❏…

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