見出し画像

80歳の社会貢献

 認知症で今は施設生活の義母に親切だった賢いおばあさんが102歳で昇天された、と、娘さんがご自身の自叙伝を添えてお知らせくださった。今80歳。
一晩で読んで、
 電話すると、
今時間ある?勉強会してる、お昼ご飯も用意してるから来て。

 ご自宅を訪問すると20人近い男女の高齢者がテーブルを囲み資料プリントを見ながらお一人の解説を傾聴中。
地域の歴史勉強会。プリントには写真や参考文献や関連の逸話文献、それを読み解説してくださってる。

 歴史は面白い。学校教育の歴史は年号の暗記で内容がなくて面白くなかったが、こういう語り継がれるものは人々の体験や知恵が詰まっていて飽きない。
誰もが今を観察し知恵を探して新しい歴史を作って遺す立場にあることを知らせてくれる。 

体力のある時にはそれなりの仕事があるが老齢になるとただ生きているだけという人もある。
が、彼女の自叙伝はその時々に彼女に与えられた課題をこなしたことに加えて体力の衰えた今も社会に貢献していることを示してくれた。

こうして多くの高齢者が歴史を学び、発表し、成長し続けている。この地域をよく知らなかった私はここに愛着を感じた。ここに登場した人物や土地の特性などを人に伝える喜びを参加者みんなが持ったのではないかと思う。この土地を深く見ることで、どんな街を作れば良いのかを考えるようになる。

風見鶏が高いところで風の方向を見て知らせてくれるように、高齢者は歴史を学び今を学んで、進路を探る仕事が向いているのではないかと思った。

若者が選挙にも行かないと非難され高齢者の投票が老害との説もあるが、マスコミ報道しか知らない高齢者にその外にあるニュースを届けるのも、若い家族に歴史の流れと今の風向きを伝えるのも老人会の仕事なんだと分かった。

こうしてネットを使う高齢者が呟き囀り作品投稿などすることはボケどめになりそうだし、案外そこから将来への知恵があるかもと見てくれる人があることも喜びとなる。

老後、熟年、、いろんな表現ができるが、老年でなければできない仕事もあり、発展途上国に比べると年齢層の高い日本は成熟社会といえる。

老齢者がそれなりの活躍を続ける社会は理想郷なんだと思う。この日本に生まれて生きて幸せだと思う。

振り返れば私だって社会作りに貢献したと思い出すこともある。これからしたいこともある72歳。たぶん自叙伝は書かないが、人の自叙伝に感動する今。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?