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23 勘に頼らないリーダーの心得

本noteは連載形式です。全部で約100回の予定となります。本連載「想定外を克服する『究極の状況判断力』」のリンクは最下部に記載してあります。

「究極の状況判断」のメイン・プレーヤーであるリーダー。まるで先天的にセンスを持ち合わせた人にしかリーダーは務まらないように感じるかもしれないが、実は一定の決まりの中で個性をもってリードしていけば良い。

23 リーダーの能力は勘やセンスで決まらない

究極に厳しい状況に耐えることが要求される軍隊・自衛隊のリーダーたち。彼らは普段、静かで真面目に、そして真摯な姿を見せる。決して目立ったスタンド・プレーをしているようには見えないのだけれど、実は集団としてリーダーが具備すべき心得を叩き込まれている。

人には個性がある。人はそれぞれ異なる性格や経験を持ち合わせていて、それぞれの人間味がある。とても優しく気配りのできる人もいれば、目の前に現れた恐ろしい状況をみて心の底から闘志が湧いてくる人もいるかもしれない。

リーダー一人一人にも個性がある。そういう資質は、まさに人それぞれであって良いとされる。むしろ、そういう生まれつきの、あるいは歩んできた環境が作り上げた「あなた」という存在を自分が受け入れず、何か別物になった気で人前に立とうとすると、下から見れば一発でそのことがバレてしまう。

そうすると、部下からすればリーダーが嘘をついている、ということになり、信頼を得ることが難しくなる。その真逆に、「この人について行きたい」と思われるリーダーも存在する。誰もが、そういう存在でありたいと願うのだが、大抵の場合はその方法が分からず、試行錯誤する。そして、先天的なことであるとか、勘やセンスに頼るしかないか、と思ってしまう。

ここで述べてきたリーダーの能力のことを「統御」(とうぎょ)といい、一般的には統率力と表現される。軍隊・自衛隊では、困難な任務であっても部下に対して生命をかけて仕事をさせる必要があるため、リーダーのことを心の底から信頼できるチーム作りが求められる。

そのための心得は、自衛隊では幾つものテキスト・ブックに記され、若い時から再三叩き込まれる。ポイントは、リーダー自らが進んで徳を向上させ、見識や技術をどんどんと立派なものにしていき、自分がやるんだという強い責任観念と固い意志をもって、誰よりも先に責任を全うするために動く姿勢を持て、というものだ。

ここで述べていることは、リーダーを語る上では決して外せない重要な要素であり、また一朝一夕になし得るものではないため、永遠に自己努力を続けよとされる。思いつきや勘で指示したり命じたりするのでなく、部下を共感させる為に刻む重厚で長大なプロセスである。

一方で、この「究極の状況判断力」で皆さんに解説を試みるのは、リーダーのためのプロトコルのうち「指揮」と呼ばれるものとなる。これは、軍隊・自衛隊の場合であれば法律によって合法的に許可されている集団行動を実行するためのオーダー(命令)を出す行為である。こちらもまた、明確に明文化されていて、常に学びと実践の対象とされている。

そして、この「指揮」と「統御」がうまくマッチしていくことで、スタッフと一丸となって極めて難しい状況を乗り越えることを目指すこととされている。

>次回:明文化されたリーダーの行動規範

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