13 失敗①「どうしたいのか」が共有できない
本noteは連載形式です。全部で約100回の予定となります。本連載「想定外を克服する『究極の状況判断力』」のリンクは最下部に記載してあります。
13 最初の一歩「どうしたいのか」が共有できない
上司と部下との間の共通の行動規範の必要性は理解したとして、どのような共通の認識が必要なのかということが大切になる。
まずは、あなたがA案件を任された際にとった行動を思い起こして欲しい。
あなたは、上司から計画を立てて欲しいと頼まれた。Aの計画化は、社内で未だ誰も手を付けたことがない案件で、誰かのマネごとでは乗り越えられない代物だった。初めてのことであって少し気が引けたが、せっかく上司のBさんが任せてくれたのだから、と意気込んだ。
しかし、Bさんが持っているイメージが分かりにくかった。最終的に会社としてどこまで求めたいのか、完成時期はどうか、予算はどうか、競合他社との優位性はどうするか等々。計画を立てるにあたって、あまりにも選択肢がありすぎて、正直どこからどのように考えて手を付ければ良いか分からなかった。
あなたは、決してこのような大きな案件の経験が無かったわけでもなく、ある程度のプロジェクトはこれまでも任されて来たので、どのようなことを予め知っておかなければプランニングまで持っていけないかは想像できる能力がある。
同時に、上司のBさんだって、もちろん様々な案件を乗り越えてきた強者だ。それもあって、あなたには少し、Bさんに盲目的に従っていた部分があったのかもしれない。
しかし、特に「想定外」ともいえる新規の案件や、本当の想定外な事態においては、このような予め知っておくべき項目については上司と部下が共通の認識の下、斉一的に協調して方針を打ち出すプロセスが必要となる。
一方で、「究極の状況判断力」のためのプロセスを適用した場合、最初に「インテンションの確立」という段階があった。インテンションとは、「意図」のことである。この「意図」は、通常、計画化に先立ってリーダーによって部下に対して出されるもので、規定の要素で構成される。簡単にいえば、「上司はどうしたいのか」ということに対する共通の理解である。
詳細は後述するが、この「どうしたいのか」という部分が常に曖昧に扱われがちであるため、時に指示が不明確になったり、担当者任せとなって時間だけがかかってしまう結果となる。あなたが上司のBさんとの間で経験したのも、まさにこのような事態なのである。
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