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12 「想定外」に打ち勝つ秘訣は共通プロトコルにあり

本noteは連載形式です。全部で約100回の予定となります。本連載「想定外を克服する『究極の状況判断力』」のリンクは最下部に記載してあります。

軍隊・自衛隊で活用されている危機管理のための手法について、これまであえて裏付けとなる説明を省き、一気にご紹介してきした。あなたの仕事・ビジネスの場面に当てはめた場合、どう適用されるかについて何となく概観を持っていただけただろうか。(初めてご覧になる方、最初から確認したい方はこちら:想定外を克服する「究極の状況判断力」

12 「想定外」に対応するために必須の基本条件

さて、いかがだっただろうか。これまでの説明は、いわば結論を書いたようなものなので、次から次へと展開される内容に正直、疑問が多く沸いた方が多いはずではないだろうか。たとえば「情報見積り」とか、「行動方針案」など、他にも硬い表現が盛りだくさんだった。

更には、それらを踏まえた上司Bさんと部下であるあなたとの間の会話の流れなど、普段聞きなれない展開には違和感を覚えられたはずだ。ここまで辛抱してお付き合いいただき、感謝しかない。

これらのプロトコル(行動様式)については、基本的なロジックとそれぞれに詳細な定義や意義があり、それらについては今後、基礎編及び応用編でじっくりと解説することとしたい。

不透明で不確実な状況に対峙するためには、基本的には、このようなプロセスを通じた「究極の状況判断力」が求められる。こういった一定のプロトコルを持たず、頭の中で様々なシミュレーションを行って切り抜けようとしても、個人では何とかなるかもしれないが、組織として目的を達成しようとする際には絶対に上手くいかない。

あなたが最初の例で失敗した大きな理由は、そこにある。上司と部下という二人の関係があって、その中においてでさえ、いわば「想定外」の状況にいかに対応していくかということについてのコンセンサスが持てていなかった。少なくとも、上司と部下は、互いにどのような共通認識を持つべきかを事前に確認しておくことが求められる。

自衛隊の場合、上司=指揮官、部下=幕僚(スタッフ)として役割と責任が明確に区分される。たとえば、台風被害による災害派遣に出動した部隊の“指揮官”と、それを支える現地の部下(スタッフ)がいるし、その様々な部隊を中央で指揮する上位の“指揮官”と、その指揮官を支える司令部で勤務する“幕僚”がいる。戦争を想定した各種の組織も全く同じで、むしろそちらが本場のチームワークである。

この指揮官と幕僚というのは、ともにリーダー層(幹部)によって構成され、互いがその役割と責任を学び、一定の行動規範としての共通認識を持っている。「想定外」に対応するための最初の大前提として、そのための対応要領についてチームが確実な共通認識を持つことが必須の条件である。

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マガジン:想定外を克服する「究極の状況判断力」

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