14 失敗② まずとりあえず「計画」を立てよう
本noteは連載形式です。全部で約100回の予定となります。本連載「想定外を克服する『究極の状況判断力』」のリンクは最下部に記載してあります。
14 いきなり「計画」する危険性
思い出して頂きたい。あなたは、上司のBさんから、とにかく新規案件を計画化するよう頼まれた。真面目で向上心が人一倍強いあなたは、早速、いつ、どの程度、どのように達成していけば良いかをサラッと考えてみた。しかしながら、いろいろと不明確な点が出てきて、計画を立てようにも、具体的に動き出しそうなものに仕上げることは到底無理に思えた。
実は、計画化というものは活動全体の一部でしかなく、そもそも一番最初に開始すべきものではない。計画とは、事前に決定した方策の実行方法について定めるものであり、必ず、行動すべき方針についての意思決定が必要となる。つまり、かなり大掛かりな前提条件のようなものが必要になる作業なのである。
例えば自衛隊の場合、「計画」とは意思決定に基づき、意志の発動である命令に先立って策定されるものと教えられる。この「意思決定に基づき」という部分が重要で、事前にリーダーが何らかの決定をしている、という前提条件が入る。実は、この計画化の前の活動を「状況判断」と呼び、そのプロセス中で何らかの方針について意思決定されるプロトコルとなっている。
あなたの場合は、上司のBさんから計画化を依頼された。本来、上司のBさんは突然、計画するよう依頼するだけではダメであった。彼は、計画を依頼する前に、何らかの意思決定をしておく必要があった。そうして初めて計画化に移行できる。
通常、おおよそ同じ環境やサイクルで物事が行われる場合、この意思決定の部分をあまり意識されることがない。例えば、夏の暑い日にコンビニでアイスクリームを買いに行く時には、何時に家を出て、いくら持って行って、いつ食べるかを考える。そう言った計画を立てるにあたって、意思決定など不要だ。
ただ、不透明で不確実な場合、このプロセスが非常に重要となる。将来予測が立ちにくく、しかも予測を誤れば大きなリスクがあるような場合、いきなり計画を立てるのは危険そうだと何となく理解できるのではないだろうか。そこには「状況判断」と呼ばれるプロセスが介在することとなり、その最初のステップが「インテンションの確立」、すなわち「どうしたいのか」を作り上げる作業となる。
「まずとりあえず計画を立てる」ことは非常に乱暴な進め方であり、まずは状況判断が必要である。まず何よりも初めに、上司と部下が「これからどうしたいか」を明確に共有しなければ、必要な計画は作れないのである。
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