5 そして、濃い「戦場の霧」につつまれた
本noteは連載形式です。全部で約100回の予定となります。本連載「想定外を克服する『究極の状況判断力』」のリンクは最下部に記載してあります。
5. 「戦場の霧」につつまれた君
真剣勝負には、常に不確実性がつきまとう。既に誰かが歩いた道だったり、一定のセオリーが確立しているビジネスならば、割と楽に答えに近づけるのかもしれない。これまでやってきた方法を微修正しながら、「カイゼン」力で乗り切るのだ。
しかし、新たな戦いや、それこそ各分野をリードする会社に籍を置いて第一線で戦っていると自負するあなたの場合は、単に誰かがやってきたことの延長では上手く切り抜けられない。自分の肩に会社の未来がかかっていて、人々の生活に革命を起こす可能性があると言っても過言ではない。
ー 戦場には霧が出ることがある。 たとえば日本の富士山の麓にある陸上自衛隊の東富士演習場。いつもきれいな富士山が間近に見える場所だけれども、太平洋からの海風が入り一帯が曇り始めると、これまで仮想の敵陣がはっきり見渡せていたのに、とたんに数十メートル先が見えなくなる。
そうなると、相手の様子が見えなくなり、不安に襲われる。相手はどう出てくるのか、自分たちはどう、陣地を守ればよいのか。情報が無くなるから、行動に出れない。このエリアの霧の情報まではGoogleも教えてくれない。
この「霧」は、不思議なことに戦場だけに漂うものではなく、そういった不透明で不確実な状況が折り重なって、より高度なレベルの作戦立案の場面にも影響が出ることがある。場の空気が、状況判断を支配することがある。
「戦争論」で有名なドイツの軍事学者クラウゼヴィッツは、このような戦場の不確実性を「戦場の霧」と比喩した。相手を打ち負かそうとする戦場では、互いの意図が我が交わる中で、カオスな状態に陥ることがある。だから軍隊は、常にそのカオスを克服するためのプロトコルを追求して今日に至っている ー
さて、あなたは今、あなたにとっての大きなA案件という課題を任された。しかし、今や深く濃い霧に包まれたような感覚に陥った。だれかが一風吹かせてこの霧を吹き飛ばしてくれるのかもしれない。それを待つのも手だ。しかし、とにかく今は、次の手を考え抜かなければならない。
あなたは、上司のBさんと、2度目の会議をすることにした。ここでじっとしていても、何も変わらないと思ったからだ。今度は、何を知りたいのかを明確に伝え、そこの部分の回答を確実にもらおう。そして、自分の悩み所をはっきりと理解してもらい、とにかく前に進もう。
あなたの勇敢な決意は、果たして功を奏するだろうか。
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