たまには「ただ堪能する」時間も大事。『デイヴィッド・ホックニー展』へ。
「一緒に美術館に行かない?」
母からの誘いで先日訪れたのは、東京都現代美術館。お目当ては11月5日まで開催されている『デイヴィッド・ホックニー展』です。
美術館を訪れるのはまれだけれど、アートのためにつくられた空間で作品に没入できる感覚が好き。余計なモノに気が散ることなく、ただただ目の前の作品に意識を全集中する、まさにマインドフルネスな時間です。特に今回の展示は見上げるような大型作品も多く、没入感を味わいやすい気がしました。
色鮮やかでパワーがあふれるホックニー作品のなかに身を置くと、自然とこちらもポジティブな気持ちに。この日はどんよりしたお天気で、夏休み明けのバタバタで身体も疲れ気味だったけれど、プラスのエネルギーをもらえる感じ。
忙しない日常の息抜きといえば、次々に新しい情報が流れてくるSNSや、作り手側のテンポで展開していく映像ものなんかが代表例。手近で簡単に刺激を得られる一方、情報量過多だったりペースが速すぎたりで、リフレッシュするはずが疲労感を覚えることも少なくありません。
その点、動くわけでも正解を発信してくれるわけでもないアートと向き合っている時間は、静かで穏やか。自分の中のいつもは怠け気味の感性が稼働する感覚も。それに、描いた跡がリアルに分かる実物の存在感はやっぱり圧倒的。
ふだんの暮らしは芸術とは縁遠いからこそ、インスタントじゃなく、実物を堪能する息抜きの時間もたまには持ちたいもの。
ひとりでのんびりももちろん良いし、誰かと一緒だと自分にはない視点をもらえるのがおもしろい。今回は「パワフルなアートを観ていたら何だか元気になってきたわ。目にするものってやっぱり大事。ふだんの暮らしでもそれは同じよね。」という母の感想に深くうなずきました。
御年86歳のホックニー。2010年の発売と同時にiPadを使った製作を始めたという、新しいものを取り入れる貪欲さや、今なお精力的に作品を描き続けている姿勢はシンプルにすごいの一言。作品と同じくらい、その人柄からもパワーをもらったひと時に。
そして、アートを堪能した後のお楽しみはやっぱり食!東京都現代美術館のある清澄白河は、ここ数年でカフェの数が約2倍に増えた激戦区でカフェの聖地とも。
そんなカフェの街でランチに足を運んだのが、築80年の倉庫を改装し、昨年オープンしたiki Roastery&Eateryです。
隅田川沿いのロケーションと天井の高いつくりとが相まって、とっても開放的。おしゃれプレートを前にさらにテンションが上がります。
次女が帰宅するまでの限られた時間だったけれど、お互いの誕生日プレゼント交換をして、とにかくよくしゃべった!近況報告からちょっとシリアスな相談まで、娘たちの邪魔が入らない+内容を選ばなくていいから、本当に止まらない。
ただ聞いてもらうだけでだいぶ心が軽くなるし、話している間に内容が整理されて、方向性が見えてくることも。ここ数年は、母からアドバイスを求められる場面もぐっと増えた感があります。
ちなみに、今年の母への誕生日プレゼントはOURHOMEのめがねストラップにしました。夏に帰省した時に、老眼鏡を探している姿を何度か目にしたので…。これはヒットだったようで、父が羨ましがっていると後日母から連絡が(笑)。
初めての街を歩き、アートを観て、母に会っておしゃべりをして…と、五感をフルに使ったこの日は心地よい疲労感と充足感でいっぱい。
オンラインや手軽な娯楽も手放せないけれど、コロナ前の世界がだいぶ戻ってきた今、ちょっと手のかかる、インスタントじゃない息抜きも大切にしたいものです。
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