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広い世界を見るのだ 1


今から20年近く前に観た「GO」という映画の中のワンシーン、主演の窪塚洋介さんが(朧げな記憶ではピースサインしながら)「広い世界を見るのだ」と言っていた。これは、映画の中の父親役である山崎努さんの「広い世界をみろ、そして自分で決めろ」というセリフに応えているワンシーン。

当時高校生(16歳くらいだったかな)、将来や未来なんてものをモヤっとポワッと捉えられずにいた僕に、このワンシーンはすごい衝撃的だった。 強烈に脳裏に焼き付き、当時の自分のとてもとても小さな世界の中心の奥深くへと突き刺さったのを覚えている。そしてそれは何年も経った今も心の中の片隅に残っていて、何気ない時にふっと思い出される。



2021年1月現在、僕は日本から遠く離れたパリ在住15年目に突入しようとしている。


落合陽一さんがNewsPicksの番組で言っていた。
「出来るだけ若い時に、10年後や20年後に響くようなポイント目がけて針を打ってくれるような人との出会いや、出来事があると良いよね。」と。

めちゃくちゃわかる。
この人本当に天才⤵️


それが僕にも確実にいくつかあったなぁと。

『広い世界を見るのだ』

この言葉は見事にそのポイントに刺さっていた。

2007年、大阪の服飾専門学校生時代、当時僕が通っていた専門学校からは海外留学するという人はおらず、近い先輩たちの代でもいなかった。
留学したいと考え出したのはいいけれども情報は一切なく、何から始めたらいいのか、どう準備すればいいのか、とにかくすべてが手探り、足りない頭で情報収集、2006ー7年当時まだスマホなんてない。

僕はこの服飾専門学校在学中、勉強を楽しんでいた。
小さい頃からモノ作りが好きだったのも相まって、服飾の奥深さにズッポリとハマっていた…僕が在籍していた学科生は一般的には3年間のカリキュラム修了後にデザイナーやパターンナーという専門職として就職する。
就職率は結構いい学校だったし、10年以上経つ今思い返してもカリキュラムも教師陣も秀逸だったと思う。
3年カリキュラムのうちの2年目の終盤、「就職活動」という言葉がちらついてくる。しかし自分がよほど無知だったせいか、卒業と同時に就職する気にはなれずにいた。サラリーマンとして働く自分の姿が全く想像できないでいた。
僕は服飾のモノ作りの世界に魅了されていて、もっと勉強したい、技術的にもっと上達したいという思いを抱えていた。     

そんな時に思い出すあの言葉


『広い世界を見るのだ』


学生時代は実家通いで一人暮らしをしたことはない。生活費や学費の計算もできない世間知らずで馬鹿な若造がそんな言葉と思いを胸にパリ留学を決める。広い世界が見たいから。

アルバイトで稼いでいたお金は見事に貯まってなんかいない。
フランス語はゼロ。知識0。無。       


2021年1月現在、パリにきてもうすぐ15年目に突入する。     

15年近く経った今、当時のことを笑いながら思い出す。

好きなことにとことん熱狂していたあの時を思い返す。

だいぶ狂っていたな。

パリに来て色々なことがあったし、その時から比べると自分の世界は少しばかりは広くなったかな。

それでも、僕の世界はまだまだ、まだまだ狭い。

世界はきっともっと広い。

もっと、もっと広い世界を見るのだ。

熱狂できる新しいコトを見つけて、挑戦しよう。            

その先にきっとまだ見たことのない広い世界が広がっているから。



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