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「映画はおもしろいぞ!」くまもと復興映画祭から受け取ったメッセージ

ひとりで観る映画もいい。けど、みんなで観る映画はもっといい。

「映画ってすごい!」を体感したくまもと復興映画祭の3日間でした。

昨年の「第30回 東京国際映画祭」につづき、僕が映画祭に参加するのは二度目。プロデューサーを務める映画「アイスと雨音」が映画祭に選出されて、参加できることになったのです。

くまもと復興映画祭の開催期間は、4/6(金)〜4/8(日)。約1週間が経った今も、うれしいさみしさ、というか、温かな余韻を心に残しています。特に印象的だったことを共有させてください。

この映画祭の目指すところは、つくり手だけではなく、観客のひとりひとりが、映画の楽しさを知る、映画の力を知ることです。

くまもと復興映画祭ディレクターの行定勲監督が、初日の開会式の時にそう仰っていたのがとても印象的だった。その思いを感じられたのが、「真夜中の映画祭 vol.4」という、菊池の望月旅館大広間での深夜のトークイベント。

◆映画愛を語り尽くす「真夜中の映画祭」

映画解説者のミルクマン斉藤さんが司会。そして、行定勲監督、本広克行監督齊藤工監督、松居大悟監督による映画にまつわる熱いトーク。

「この映画に影響を受けている!」という愛を、強すぎる愛をみんなで語る。好きなことをいきいきと話してる姿は、どうしてあんなに人を惹き付けるんだろう。映画が好きだ、好きだからつくってるんだ、そんな気持ちが伝わってくる。

行定勲監督が紹介していたのは、大林宣彦監督作「日本殉情伝 おかしなふたり ものくるほしきひとびとの群」だった。

この映画には、原作のコミックがある。けれど、スポンサーが直前でおり、予算は削られ、封切りも危うくなる。でも、つくる。大林監督の個人的な独立した思いから、むくむくと想像をふくらませ、まったく違ういきものへと進化を試みる。逆境から発想を生み出し、ポジティブな姿勢でつくりあげてしまう。

行定監督が、大林監督の映画のことを紹介していく。「すげえ」という思いとともに、目がますます覚めていくのを感じた。

◆若手監督の映画との向き合い方

3日目に開催されたトークイベント「次世代を担う監督たちを囲んで」。語られるのは、製作費やコンプライアンス、映画をつくる上で立ちはだかるいくつもの壁、どう突破していくか。映画「blank13」の齊藤工監督が言っていました。

「俳優が映画を撮ることで、どうしてもバイアスがかかる。だから『blank13』は、先に海外の映画祭に出し、自分のことを知らない国の人たちに観てもらって、評価してもらう。その上で、日本公開をした。今後も、役者をしている自分が、監督をする立場を生かして、(コンプライアンスの壁なども過度に意識せず)おもいきり映画をつくっていきたい。

当たり前のことだけど、他人と比較していても、なにも生み出せない。自分の手もとにあるカードで、どう戦うかを決めていくしかない。精魂を費やして作品を一つずつつくっていくしかない。つくることでしか語れないのだ。

トークイベントの後や映画の上映後に、Q&Aの時間がある。観客のみなさんから、たくさん手があがる。映画の観方を共有することで、新しい発見が次々と生まれていく。こうして映画文化は、つくり手と観客がつくっていくんだ。

「アイスと雨音」はというと…映画の上映後、ティーチインを経て、MOROHAのライブも。そこで聞く映画の主題歌「遠郷タワー」は、もうね、反則の域でした。すんごい良かった。

映画祭から受け取った、「映画はおもしろいぞ!」というメッセージ。映画への情熱と愛情が、映画祭を通じてたくさんの人に届いていく。

この場に立ち会えて改めて思います。いま、映画づくりに携われて幸せだなと。映画「アイスと雨音」はまだまだ上映中だし(劇場はこちら)、7月7日(土)には映画「君が君で君だ」が公開されます。

僕自身の映画づくりの経験から、言葉を獲得して、語れることを一つでも多く増やしていきたい。ああ、書いてたら映画を観たくなってきた。

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