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一体感とは、結論「一対一」だと思う。

「もしもさ、みんなに伝えたいことがあったらどうする?」

いつもの会議室。僕と先輩のふたりで話していた。

その先輩は、僕の上司の上司。広告会社の100人近くいるクリエーティブ局を率いるマネージャーだ。

当時、僕は二十代のワカゾー。あの頃 is 猪突猛進。

「こんな提案を社長にしたいんですっ!!」と、イノシシもびっくりの真っ直ぐさで企画書をつくり先輩に見せに行ったことがあった。枠からはみ出し気味の僕を、気にかけてくれていたんだと思う。それから、時折ふたりで話す機会をもうけてくれていた。

(このnoteの本題とはそれるけど、その時先輩に言われたのは「いいね。でもこれだと、社長にランチおごってもらって終わりだな」だった。最高。あと、本当は、イノシシはジグザグに走るの得意らしい。うおい、まじか。)

先輩はつづける。

「プリンターを使う時は紙を無駄にしないようにしましょうとか、職場の同僚たちに伝えなくちゃいけない時、広告の仕事をしてる僕らはさ、メッセージを書いたポスターとかつくっちゃう訳だよ」

「あー、よく貼ってありますよね」

僕は答えつつも、話の向かう先が読めなかった。たしかに職場のフロアにそういう貼り紙は、よくある。し、そのことについて僕は特別に何かを考えたことはなかった。そういうもんだよなー、と。

「本当はさ、ポスターなんてつくらなくても、一人ひとりに伝えたらいいんだよな。頼むよって」

「はあ…」と拍子抜けしつつ…辛さが後から後からやってくる担々麺みたいにシビれながら「ああああ!」と思った。

「全体向けに言うよりも、こうしてほしいと思う人がいるのなら、その人に直接声かけたほうがはやいんだよな」と先輩は言っていた。

もう何年も前にしたこの話を鮮明に覚えている。ありまくりだったからかもしれない、心当たりが。

たとえば、あんまり関係ない内容をメールで「BCC」で大勢に送られきたらどうだろう? 正直、読む気がしない。超高速スクロールの後、スルーするし、送り手に対する信用はおぼろげになっていく。

「世の中に一体感をつくりたい」この言葉は、広告の仕事、コピーライターをする上での僕の信念で。何度も何度も言葉を口にして、確かめるうちに、「一体感」に対するピントが合ってきた。

「プチョヘンザ!」と手を上げて揺らすヒップホップのライブ。盛り上がるあの感じ、その前提には「一対一」があると思うのだ。

「一体感」は「一対一」があってこそ。私とあなたの関係。私はあなたを見ている。あなた、あなた、あなたとのたくさんのつながりが重なり合い、一体感になっていく。

「その他大勢」として扱われていると思った瞬間に、心はどんどんそこから離れていく。僕自身に心当たりがあるから、それはしたくない。

人の気持ちには波がある。

今年開講した、オンラインでの100名の講座(前記事参照)。申込みから初回がはじまるまでの間は、寄せては返す波のようにザザザーっと気持ちは揺れるだろうし、オンラインの不確か感もあるから、自分ひとりいなくとも!?!? なーんてもしかしたら思ってしまうかもしれない。

だから、100名、全員一人ひとりに手紙を書いてみた。

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スカイツリーもびっくり。名付けて、レターツリー。

ポスターをつくるでもなく、BCCのメールでもなく、手紙。超アナログだし、1200分くらい時間はかかっても、いちばん届くと信じて。

結果、初回のオンラインの講義、100名フル出席。当たり前なんだけど、心の中でガッツポーズしていた。めっちゃ感動した。

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自分が大切にしたい特別なモノゴトに対して、僕はこの姿勢でいたいと思う。もちろん手間も時間もかかる。でも、そうありたい。

「一体感」を突きつめていく上でたどり着いた、それが僕らしさだから。


あの時、先輩が僕を見ててくれたこと。

直接話してくれた意味。おそらく、その先輩は、僕だけじゃなくて一対一をみんなとつくろうとしていたんだと思うと、泣ける。

書籍『コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術』(ダイヤモンド社)の刊行記念でぞくぞくとオンラインイベントをしてます。もしよかったら…!またnoteで会いましょう。

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