紡いできた物語、これから紡ぐ物語。
雨が降っている。
空を見上げると、なんとも言えないどんよりとした雲が漂っている。天気予報を確認すると、バイトに出かける夕方ごろから本降りになる予報だ。
仕方がないので歩いてバイトに向かうことに。
この日は弟とバイトのシフトが被っているので、帰路は一緒に帰るはず。弟は雨だろうが関係なく、カッパを持って学校に向かう人なので、僕が歩いていくとまぁまぁめんどくさいことになるわけですが...。
しょうがない、帰り道は一緒に歩いてもらおう!最悪一人で歩いて帰ればいいや〜。
そのくらい軽い気持ちで歩いていくことを選択しました。
この選択が、今日の出来事の始まりだとは、このときはまだ知る吉もありませんでした。
無事にバイトが終了し、帰路へ。
何も言わなくても一緒に歩いて帰っくれそうだったので、一旦茶化してみることに。
兄:「えー!一緒に歩いて帰ってくれるん⁈なん
て優しい弟を持ったんだろう!」
弟:「え?帰っていいなら先帰るで?w」
兄:「いやいや、一緒に帰ろうや〜。ほんとは一
緒がいいんだろ〜?w」
弟:「w」
なんやかんや言いながら、一緒に帰ってくれることに。今日は徒歩で帰るので、自宅までは30分ほど。普段、自転車で帰る時は自宅までは15分ほどなので、普段の倍以上の時間がかかります。
たわいもない会話で流れていく、雨上がりの帰り路。
普段よりも時間が長いからこそ、普段はしないような会話にまで発展します。試験のことを聞いたり、友達と過ごす大学生活のことを聞いたり...。他人の大学生活を聞いていると、自分のとはまた違った生活をしていて、そんな違いに面白さを覚えます。
「この前オンライでやった試験難すぎて、最初見た時絶望しかけたw」
「そう言えば、この前肉じゃが初めて作ったんよ!」
「兄ちゃん!この前の成績が思ったより良かったんよ!!」
大学生活楽しんでんだなぁ〜って、心の底から嬉しくなりました。僕は大学4年で、あとは卒業を待つばかり...。そんなタイミングで、3つ下の弟の学生生活を聞いていると、昔を懐かしんでしまいます。
コロナ禍で夜遅くまで開いてる店がなくて、コメダ珈琲で夜中まで試験対策した日。弟同様に、オンライン試験で問題見た瞬間に絶望した日。友達と行った旅行、キャンプ、映画...。
いろんなことをしたなぁ〜。
僕たちの過ぎ去った日々を、弟はこれから3年間かけて、今いる友達と一緒に過ごしていくんだと思う。
僕たちは
「あのとき、〇〇がこんなことしてさ〜w」
「コメダで夜中まで勉強してさ、〇〇が砂糖過剰摂取してたよねw」
とか、過去を懐古して笑うことができる。
でも、弟たちにはそれができない。
まだ紡いだ物語が、思い出が、3年間分少ないからだ。代わりに弟たちには、これから物語を紡いでいく楽しさを味わうことができる。僕たちが懐古し、思い馳せている過去の物語を、これから仲間たちと紡いでいくことができるんだ。
僕たちは、4年間たくさんの思い出を紡いできた。そんな今、その生活にもゴールが見えてきた。
きっと、弟たちにはゴールなんてまだまだ見えてないんだろうなぁ〜。それでいい。それでいいさ。今を思い切っっっきり楽しんでおくんだよ。勉強する時はして、しない時は友達と一緒に過ごしな。
あっという間に4年なんか過ぎ去っちゃうから。
「勉強しときゃよかったなぁ〜」
「友達ともっと遊んどけばよかったなぁ〜」
「〇〇に挑戦しとけばよかったなぁ〜」
そんな後悔を抱かないように、今を全力で過ごすんだ。充実した日々を過ごせば過ごすほど、きっと3年後に4年生になった時、今の僕たちみたいに笑い話にできる話題がたっくさんできてるはずだよ。
別れが惜しく感じても、それを忘れさせるくらい、楽しくて充実した日々がその傷を癒してくれるはずだよ。
だから、大学生活、楽しんでな。
弟との会話中、もちろんこんなこと言わない。なんなら、もっとふざけてオチャラケムードでいたけど、心の中ではそんなことを思っていました。
弟と友達が、これから3年間を楽しく過ごせますように。今の友達が誰一人として欠けることなく、一緒に卒業式を迎えられますように。
3年後、笑っていられますように。
こんなこと書いてると、なんか友達に会いたくなってきたなぁ〜。
明日は学校、行こうかなぁ?
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