振り切るために
昔からスポーツカーに乗りたかった。
この車に決めた理由は単に条件に合ったからで、こだわりはない。
たまたま休みだった母と一緒に元の車に乗って、手続きをし、この車に乗ってドライブした。
その中で、何故か亡くなった祖父の話になった。祖父は私のことも可愛がってくれたが、祖父に似た弟をとても可愛がっていた。私はどこにも祖父に似ていなかった。大好きだったけど、似てなかったのだ。
そんな話をふと、母にしたけれど、よくよく考えたら、車が好きなのは祖父で、他の誰も車は乗るものだというぐらいの感覚しか持ち合わせてない。そんなことを思うと、もし生きていたら助手席に乗せたかったのは祖父だった。
そのことを言うと、母は、確かに顔とか気質は似てないけれど、趣味が似てない?と言われた。
祖父は車が好きで、運転も好きだったし、上手だった。カメラも好き。時計も好き。
おー、確かに、まさに私だ!
昔、コンパクトなのにすごく質の良いフィルムのカメラがあって、それをくれたなぁ。そういう意味で趣味が合うのは私だったんだ!
赤い車は、私の嫌なものとか気分を振り切るために手に入れた。そんなつもりだった。
でも、思わず、祖父と私、過去と未来を繋いでくれた。大切に乗りたいし、楽しく乗りたい。
ガソリンは食いまくり。お金も手もかかる車だけど、駆け抜けたい。振り切りたい。
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