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信頼関係を作るのは何年もかかるけど、壊すのは一瞬。20代の三代目後継者がコーチングで得た変化とは? Vol.2

組織マネジメントにおいて「コーチング」が注目されています。しかし、実際、どんな感じで行われているのか?本当に成果はあるのか?という疑問は多いのではないかと思います。
(学校法人)そだちの園の坂本常務理事にご協力いただき、コーチングを導入されての事業、組織の変化などについてお聞きしました。第二話目です。

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松本興太(以下、松本):
最初の方のお話の中で、従業員さんとか教職員の方とのコミュニケーションについて、話していただきましたけれども。最初このコーチングが始まるときに、教職員と十分にコミュニケーションが取れないとか、気持ちの面でも業務の面でも関係性を詰められないとか、良い関係にするきっかけを見いだせないみたいなところがあって。それが少しずつ、今改善していっているということをお聞きしていますが、その辺は具体的にどういう風に進めていったり、どういう風なことが大きなきっかけとして改善されていった要因になっていると感じていますか?

ー信頼関係を作るのは何年もかかるけど、壊すのは一瞬

坂本敬太さん(以下、坂本):
例えば一つのポイントとしては、当時やめようかなどうしようかな、うちの園を退職しようかどうしようかみたいなことを悩む人ってセッションを受け始めた当初は結構いたんです。そういう話を聞くこともありましたし、そういう従業員を引き留めるなり、どうしてなのかという話を聞いたりということが、それなりの頻度であったなという記憶があるんですけども。それが今ほとんどなくなってきたというのが、大きな変化だとして、なぜそれが起きたのかということに関しては、ひとつは私の(リーダーとしての)立ち振る舞いというか、一挙手一投足とまではいわなくても、立ち振る舞いに関して客観的に助言をいただく機会があるからじゃないかなと考えています。

基本的に法人としては常務理事で、園の中では幼稚園の園長をさせていただいているんですけども、恐らく日常的なところで助言をいただく機会は園長としてはあまりないですし、他の会社でも社長だったり、トップに立つ方って、中々アドバイスをいただく機会って少ないんじゃないかなという風に思うんです、私自身の体験からですね。しかも、非常に客観的なアドバイスをいただくという機会はさらに少ないというか。やっぱり多くの方って利害関係があったりとか、アドバイスをして下さる方の意図があったりとかがあると思うので、そういったものがなく、アドバイスをいただく機会は、すごく少ないという風に感じています。という意味では、例えば従業員とあまりうまくいかなかったりとか、こういう投げかけをしたらどうかということも、普通だったらそのまま自分の中で考えてやってしまうことに関しても、一旦松本さんにご相談するという機会があったりとか、逆に自分がやったことでうまくいかなかったり、失敗したり悩んでいることに関しても相談させていただくというか、コーチングの中で取り上げることによって、具体的にそれの何が、どこが課題だったのかとか、こういうことができないかとか、そういう話をさせていただく機会があるというのが、一個一個の従業員の接する機会において、まずどのように接するのか、そしてコミュニケーションを取ったあとにどうだったかの振り返りというか。そういった機会があるということが、非常に大きいんじゃないかなと感じています。

よく信頼関係を作るのは、何年もかかるけど、壊すのは一瞬だということが言われるんじゃないかなと思いますけども、やはり信頼関係というのは、一個一個の積み重ねなのかなというのを最近ようやく感じ始めたところなんですけども。その信頼関係を築くために、どういうコミュニケーションが必要なのかっていうところであったりとか、信頼関係を崩しかねない事態になったときに、それをどういう風に修正したりだとかっていうこと。そしてその背景としてどうしてそういうことが起きているのかというか、どうしてそういうことをしているのかに関しても、振り返りの中で分析できるということが、すごく大きいんじゃないかなという風に捉えています。

松本:
ありがとうございます。今振り返りと分析という言葉を出していただきましたが、これは本当に、一緒にいっぱい振り返りましたよね。

坂本:
そうですね、本当に。

松本:
振り返りと検証の繰り返しでしたよね、最初の方は。僕自身も経営者として工場を経営していたときに、常にそれを繰り返す中で、なんとかうまくいくようにできていたというところで、今は一緒にクライアントの皆さんとさせていただきますが、それが本当に役に立っているというのは、僕もお聞きできて、とても嬉しいことです。ありがとうございます。

坂本:
ありがとうございます。

ー組織の変化、離職の低下の要因とは?

松本:次、組織の変化などについて具体的なことがあれば、教えていただきたいんですけども、重複でも良いのでぜひ教えていただければなと思いますが、いかがでしょうか?

坂本:
組織の変化の中の、ある意味では一番中心になるところなのかなという風に感じているんですけども、副園長(右腕)との関係がかなり良くなってきたというか。私から見れば副園長がすごくイキイキと働いてくれているなと感じるというか、積極的に仕事をしてくれているように見えますし、実際にその成果も出てきているところですので。そこが先ほど申し上げた離職の低下であるとか、そういったところにも繋がっているんじゃないかなという風に考えています。

最初コーチングを始めたときは、私当時まだ園長ではなかったですけども、コーチングの途中で、園長になるということを決める事に関しても、コーチングでたくさん取り扱っていただいた結果、今の立場で仕事をさせていただいているんですけども。園長になったときに、副園長と一緒に園をやっていこうということで、副園長は幼稚園の現場を何十年も見てきた保育のベテランであるという一方、私は園長という肩書きでありながらも、保育に関してはすごい素人という状況で、この園に携わらせていただいています。最初はやはり副園長に対して、私の見方からすると不満もありました。

言っていることが伝わらなかったりとか、逆に副園長の言っていることがわからなかったりとか、私が思っていたのとはまったく違う結果が出ていたりとか、っていうところで。結局どうしてそれができないんだというところを、私が副園長を批判するというか責めるというか、何でこれができないのかなとか、どうしてこういうことになっているのかっていうところで、ますます副園長が委縮してしまったりだとか、自分が否定されているような感覚があったという言葉もあったんですけども。というようなことで、すごく悪循環だったんだなということが、今にして感じられるんですけども。そういった負のスパイラルというところから、今はかなり基本的にコミュニケーションが取れていなくて、もちろん日常的なすれ違いは置いといたとして、大きな意味でコミュニケーションが取れないことによって、ズレるということってほとんどなくなってきました。お互いにどこが自分の仕事で、どこが誰の仕事なのかというのも、かなり明確にわかってきたというか、整理することができてきたという風に捉えていますので。もちろんまだまだこれからさらに進めていかなければならない分野ではあるんですけども、すごく安心して仕事をしてくれるようになったのかなという風には感じています。

ー何が起きるかわからないような不安感があった

私自身も、すごく安心して任せさせていただいている部分もありますし、色々相談したりだとか。あと当時相談するという感覚があまりなかったですね。私の方から極端に言うと指示をするというか。私自身の中で、そういった認識があったなという風に振り返ると感じますので。それよりも、相談しながら一緒にこの組織を前に進めていくというための、そういった新しい、今のより有機的なというか、そういう人と人との関係性の中で一緒にやっていくというのが、できてきたのかなという風に感じています。なので私も、当時の副園長に対してだけじゃなくて、組織全体に対して、おっかなびっくりじゃないですけど、どこで何が起きるかわからないような不安感みたいなのが結構あったんですけども、今はそのあたりはそんなにないというか。それはやっぱりコミュニケーションが取れるようになって、教員だったりとか、副園長も含めて、それぞれがコミュニケーションを円滑に取れていて、どういうような考え方だったり、現状だったり、課題だったりとかを抱えているのかというところが、共有化されてきたと感じているので、そこが大きな要因なんんじゃないかなと考えています。

松本:
ありがとうございます。日常的に400名以上の園児さんを抱えて、運営していくところで、しっかり幹部同士の連携とか、コミュニケーションのズレがないというのは、とても重要になってくるんじゃないかなと思うんですけども、そこが改善されていったということでしょうか?

坂本:
そうですね、おっしゃる通りで。在園児が400人でその下のプレの方を含めれば500名以上おりますので、そうすると関係人口としては、その500人の子供たち。例えばご両親がいらしたりということになってくると、2000人以上の人が関わってきているという状況なので。そこの意思決定のときに、やはり副園長と私の間で、意思決定をすることが多いものですから。そこがかみ合っていないことによって、それが大きな問題として波及したという経験もありますので。

コーチングの中でも、そのあたりの問題を取り扱っていただく中で、原因の根本が園長と私のコミュニケーションにあった。もっと言えば、私のコミュニケーションの取り方というか、組織の関わり方にあったというのが、明確になったところがあります。少なくとも幼稚園に関係する方々への影響というものの大きさを感じた経験もあります。それが今良い形で、組織全体の方に波及していっているんじゃないかなという風に感じています。もちろんまだまだ改善しなければいけないことは、たくさんあるんですけど、そこの一番基礎となるところに、やはり副園長と私がいると思いますので、そこが改善していっているのはすごく良いことだなという印象です。

松本:
そこのところで悩まれている方がとても多い。幹部間だったりNo.2が育たないというところで、しっかりやられているなという印象を受けますし、今後も良い関係を築いていっていただきたいなと思います。ありがとうございます。

第三話へ続く

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