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幸村 柊
2020年2月19日 19:00
中身の入ったビニル袋の潰れる音がした。レースカーテンのあちら側、ベランダの真ん中で風に揺られる白いコンビニ袋。何事かとベッドの上で身を強張らせていると、次は先ほどより鈍い、人間の潰れる音がした。絵の具を溢したような夏空から落ちてきた彼はしばらくして起き上がり、眉間にしわを寄せこちらを見た。身動きできなかった。その人はよく知る人間だった。同じ学科の、唯一といっていいほどに気を許し