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#エッセイ 伊勢神宮 『貴重な深夜参拝』

 今年の正月のことだからだいぶと時期外れなのだが、スマホの画像を整理していると、妻と伊勢神宮を参拝したときの写真がぱらぱらと出てきた。
 せっかくなので記事にしてみようと思う。


はじめに

 ぼくと妻は伊勢神宮が好きで、年に3~4回(最多6回)ほど参拝している。伊勢神宮の雰囲気が好きというのもあるが、なにより大阪から車で約3時間半という距離がちょうどいい。遠出した気分も得られるし、3時間半ほどであれば、そこまで体力的にしんどくもない。
 ようするに、伊勢神宮参りは手軽な小旅行なのだ。ぼくにとってはそういったところが伊勢神宮のいいところであって、だからちょくちょく参拝させてもらっている。

 普段の伊勢神宮は昼間しか参拝できないが、初詣の時期だけは終日可能となる。正月の昼間が大混雑しているのは言わずもがなで、人混みが苦手なぼくにはちょっと無理である。しかし、夜中(深夜)は空いていると聞いたので、1月3日の夜に車を走らせた。

 結果は聞いていたとおりに空いていて、ゆっくり参拝することができた。深夜の参拝はかなりいい。
 ただ、参道(おはらい町)にある店は軒並み閉まっているので、食べ歩きやらお土産やらが目的であれば、夜の参拝はおすすめしない。
 しかし、参拝そのものが目的であれば〝超〟をつけてもいいほどおすすめだ。

 さて、前置きはこれくらいにして、以下が伊勢神宮の深夜参拝である。


外宮の入口付近

夜中の伊勢神宮外宮の画像

 1月3日の夜9時前に出発して、日が変わった4日の夜中12時過ぎに伊勢神宮の外宮に到着した。深夜とはいえ真っ暗ではなく、ライトが足もとを照らしてくれていた。おかげで参拝に不便はなかった。
 画像を見てもらえるとわかるが、他の参拝者はほとんどいない。伊勢神宮でこういう状況はそうないことだ。深夜だからこその空き具合なのだろう。


外宮の境内

深夜の境内の画像

 入口付近と同様にほとんど人がいない。なるべく他の参拝者が映らないように写真を撮ったのだが、実際はちらりほらりと参拝者の姿を見かけた。
 服装からして、他県からの観光者ではなく、地元の方だろうと思う。


外宮の正宮

外宮の正宮の画像

 いつもは参拝者で混んでいる正宮もご覧のとおりである。静かにゆっくりと参拝することができた。

 外宮の正宮は板垣南御門いたがきみなみごもん(鳥居)をくぐると撮影禁止だ。普段は警備員が立っており、写真を撮ろうとすれば注意される。このときは警備員の姿がなかったが、御門をくぐってからの写真は控えた。
 上記は御門の外から撮った写真だ。

 また、伊勢神宮に限らず、拝殿や本殿を真正面から撮るのはよくないらしい。神さまに不敬を働いていることになるそうだ。ぼくは拝殿や本殿を写真におさめるさい、必ず少しななめから撮るようにしている。

 さて、外宮での参拝を終えたので、駐車場に戻って内宮に移動する。


おかげ横丁

夜中のおかげ横丁の画像

 外宮から内宮までは車で11分ほどかかる。体感的には5分くらいかと思っていたのだが、Google マップで調べてみると11分だった。
 内宮の鳥居(入口)に最も近い駐車場は利用不可になっていた。車をおりて、内宮までの道のりであるおかげ横丁を歩いていく。

 写真のとおり、おかげ横丁を含めたおはらい町の店は閉まっている。いつもは賑やかな参道がこれだけ静かだと、別世界にさまよい入ったような錯覚に陥る。などといった大袈裟なことはないが、なかなかお目にかかれない光景だろう。


内宮の入口付近

深夜の内宮入口の画像

 何度も伊勢神宮に訪れているが、こんなに人の姿がない内宮ははじめてだ。人混みが苦手なぼくは、それだけでテンションがあがる。
 もっとも、テンションがあがったとしても、騒ぐようなとしでもないし、騒いでいい場所でもない。
 ぼくにもそれくらいの節操はある。


内宮の境内

ガラガラの境内の画像

 まさにガラガラという状態である。内宮でもすれ違う参拝者は、地元の方とおぼしき人ばかりだった。

 通りすがりにご年配のご夫婦が、「明けましておめでとう」と声をかけてくれた。知らない方たちだったので、人違いしているかとも思ったが、そうではないようだった。
 こちらが「おめでとうございます」と返すと、「寒いねえ、風邪引かないようにねえ」とにっこりと笑って歩いていった。
 確かに寒さは否めなかったものの、なんだか気持ちがほっこりとした。


瀧祭神たきまつりのかみ

瀧祭神の画像

 外宮にも内宮にも、正宮のほかにいくつかの別宮がある、外宮は最初に正宮を参るのが一般的だが、内宮は先に別宮の瀧祭神を参るといいそうだ。
 瀧祭神は「おとりつぎさん」と親しまれている神さまであり、正宮で参拝する前に声をかけておくと、天照大御神あまてらすおおみかみ(正宮の神様)に願い事を取り次いでくれる。


神楽殿かぐらでん

神楽殿の画像

 初詣の時期は神楽殿(社務所的なところ)も24時間体制なので、夜中であってもお神札ふだやお守りを授与してもらえる。ぼくはお神札を授与してもらった。
 ちなみに伊勢神宮にはおみくじがない。伊勢神宮に訪れた時点で大吉であるため、おみくじがないそうだ。


内宮の正宮

内宮の正宮の画像

 内宮の正宮は石段を一歩あがると撮影禁止だ。普段は警備員が立っていて、撮影しようとすると注意される。
 警備員はいなかったものの、ルールを破るのは憚れた。石段の下から写真を撮ることにした。

 石段をあがって参拝している最中は、ぼくたちの他には誰もいなかった。内宮の正宮を独り占めできるなんて、そうはないことだ。深夜参拝ならではの貴重な体験だ。
 おかげで正月から得した気分になれて、それこそ得した気分だった。


まとめ

 ぼくは霊感的なことに無縁な人間だ。深夜の伊勢神宮は空気が澄んでいるとか、神さまを身近に感じたなど、そういったスピリチュアル的なことはさっぱりわからない。
 しかし、ゆっくり参拝できるのは本当にいい。来年もぜひいってみたい。

 また、写真には残していないが、参拝に時間の余裕があるならば、正宮に加えて、多賀宮たかのみや荒祭宮あらまつりのみやなどの別宮も参ればなお吉だろう。
 内宮のそばにある猿田彦神社なども有名である。

 なお、今回の年末年始の参拝可能時間は以下のとおりだった。しかし、毎年そうであるかは不明だ。もし、正月の深夜に参拝するのであれば、事前に調べておくと安心だろう。

  • 12月31日:午前5時から終日

  • 1月1日:終日

  • 1月2日:終日

  • 1月3日:終日

  • 1月4日:終日

  • 1月5日:午前0時から午後8時


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烏目浩輔
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