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「わたしもクリエイターになりたいな」


「わたしもクリエイターになりたいな」

先日、会社の同僚が、あるクリエイターのYoutubeを見ていてそう思ったらしい。

個人差こそあれど、何かを生み出して、それを生活の糧にしたいという願望は、誰しもあるのではないだろうか。問題は、何にをクリエイトしたらいいのか、何に才能があるか、何が本当に好きなのか、が分からないことだ。それが分からないうちは、クリエイターにはなれないし、それを良きタイミングで発見できる幸福な人間は、そう多くはないと思う。ああ、僕も何かを生み出せる人になりたい。

生み出すといえば、文章を書くことは最も身近なクリエイティブだと思う。僕の場合、頭をぐるぐる回転させて、言葉をコネコネして、一つの文章を完成させるのは、心の安寧を得る行為でもある。文章を考えているとき、「何かを生産活動をしなければ。」という、どうしようもない悩みを一旦忘れさせてくれ、クリーンな気持ちになれるからだ。果たしてそれが、価値のある生産活動なのか否かについては一旦棚に上げよう。

余談はさておき、僕は同僚の発言を聞いて、彼女が言う「クリエイター」とは何だろうと考えた。おそらくそれは、自分の専門性を活かして、特定の分野において新たな価値を創造できる人のことだと思う。必ずしも形ある何かを作り出すことだけではないはずだ。


僕は幸運なことに会社に雇用されつつ、海外の大学院でアフリカについて勉強できる機会を得て、ここ2年間程フランスに住んでいる。そして数日前、最後のエッセイを提出した。内容をざっくり言うと「タンザニアのンゴロンゴロクレーターの世界遺産化がどのようにマサイ族の伝統的生活様式を変えたか」。このテーマを選んだのはもちろん興味があったからで、当初は「面白い!」と思いながら文献を読んでいたけども、いつしか、エッセイを終わらせることでいっぱいいっぱいになっていた…いやー、疲れました。

アカデミックの世界で生きる人は、一種のクリエイターだと言えると思う。脈々と続く学問の系譜に、新たな1ページを書き足すことは、立派なクリエイトだ。しかしながら、この種の生産活動についても、僕はいかんせん向いてないような気がする。一応、専門性を高めるためにこのアフリカ関係のコースを選んだわけだが、「これで僕もアフリカ専門家!」とは全く思えない。付け焼き刃もいいとこだ。

いつだったか、アフリカに熱意を持ってコミットされている方に、アフリカに興味を持ったきっかけは?と聞かれた時、正直に言って良いものか迷った記憶がある。なんせ僕は、大学生の頃にアフリカ関係の勉強や活動をしていた事というわけではなく、ましてや、アフリカの地を踏んだ事はいまだ一度もない。アフリカの発展のため、アフリカの人々のために、などと高尚な理由を並べては、あらゆる方面からバッシングされるだろう。ただ、仕事を始めてから、アフリカに関わるようになっただけだ。

率直に言うと、アフリカを専門として選んだ理由は、自分なりの生存戦略だ。社会人として生きていく上で、これと言った専門性のないことがコンプレックスだった僕は、未来性が高く、かつ競合が少ない「アフリカ×フランス語」を意識的に選択した。ではなぜ、最終エッセイで、タンザニアをフィールドにしたのかと突っ込むあなたは、なかなかのアフリカ通と見た。まあ、教授との関係でそうゆうこともある。

ここで一つ言っておきたい事がある。確かに、情熱からではなく戦略的に選んだ「アフリカ×フランス語」という専門性ではあるが、この分野に確かな未来を感じていて、最低でも向こう数年の人生を捧げようとしているのもまた事実である(後付けの正当化は見苦しいものだ)。これから実際に数年現地に住んでみて、どう転ぶかはまだ分からないが、もしかすると僕の人生の命題になるかもしれない。もしかすると、こんな僕でも何か意味あるものを生み出せるかもしれない。

そんな淡い希望を抱いて現地に旅立とうとしている。


今まで勿体ぶって言っていなかったが、9月からコンゴ民主共和国の首都キンシャサに行くことになった。日本からではアクセスしづらい、旅行情報や駐在員の生活、現地の人々の生活、アフリカンアート(キンシャサはストリートアートの発信地)について、時間と気力が許す限り、発信していければと思っている。

自分の専門性を見つけるのは容易なことではないのは、これまでの二十余年の人生で痛感してきたところである。しかしながら、今回のアフリカ勤務は、間違いなく最大のチャンスになるだろう。ただ過ぎるのを待つのはあまりにも勿体ない。それが新たな人的ネットワークであれ、機会であれ、情報発信であれ、自分活動で新たな価値をクリエイトしていきたい。

さてさて、ここまで2000字にわたり、およそまとまりのない文を書き連ねてしまったが、どうか許して欲しい。課金を要求する類のものではない。

以上、「クリエイターになりたいな」という言葉に託けて、これからのアフリカ生活の所信表明をいたしました。9月からはキンシャサからお送りします。是非見てくださいね。

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