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デザイナーになりたい

今更何を言ってるんだという感じだけれども、「デザイナーになれました」って何を以て「デザイナーになれました」って見定めるかという話で。例えば、新卒でデザイナーとして採用されたら「デザイナーになれました」ということになるわけだけれども、どうやら僕の目指しているところはそこではなさそう。デザインの仕事で報酬がもらえれば、「デザイナーになれました」ということだろうか?18年間、フリーランスとしてデザイン界隈で稼いで来たわけだが、僕は原研哉でもないし、深澤直人でもないし、山中俊治でもないわけで。目指すべきところは別にありそう。

とは言え、時代は変わるのだ。デザイナーの意味も変容して来ている。実際、18年前、Webデザイナーにはデザイナーと名前こそついていたけれど、インターネット黎明期、Webが作れればそれを以てWebデザイナーだったように思う。今も、LPデザイナーやら、バナーデザイナーやら、デザイナーの入口的な職掌はある。

というのがエクスキューズだった気がするのだよな。正々堂々、僕はデザイナーを名乗って来なかった。別にデザイナーなりたいわけじゃないし、目指しているわけでもないし、名刺にはプランナーって書いてあるし、でも、デザインの仕事で食べていた。勿論、デザイン以外の仕事もたくさんやった。写真、映像、イラストは勿論のこと、編集やら、プログラミングやら。

何だけれども、今、キャリアも20年に差し掛かろうとしている(2024年に入ると19年目で、20年目にリーチがかかる)。ここに来て、ようやく、僕はデザイナーになりたい、と思うようになった。デザイナーでありたい、と思うようになった。20年目の更に向こう、引退までの20年を、デザイナーとして歩みたい、デザイナーとして終えたい、と思うようになった。この年齢だから、憧れ、とかではないのだよな。ようやく、落ち着いた、というか座りの良さをデザイナーという仕事に覚えるようになったというか。

美術大学を出ていない。学生時代から実戦配備、就業経験のないフリーランス。体系的にデザインを修めたかと言えば、そうではないキャリアだ。自信はそこそこある。Webデザイナーとしてのキャリアは長いし、制作実績も多いし、UI / UXデザイナーとして、グラフィックデザイナーとしてもクライアンに応じてプロジェクトにアサインされており、今は個人としてはコミュニケーション・デザイナーを名乗っている。

なんかでもまだまだだと思うんだよなあ。

長らく、将来、仙人になりたいと言ってた。割とリアルにそう思っていた。ただ、最近はデザイナーになりたいと思っている。デザイナーの高み、というのは相当なものではないかと思っている。霞を食って生きていけるような。フリーランス、20年目で45歳、40年目で65歳だ。人生百年時代とは言え、引退も見えてくる頃合いだ。言わば、折り返し地点の間際で、デザイナーになりたいと(ようやく)思えたことは良かった。

Jonathan Iveでも、Mark Newsonでも、Kalim Rashidでもないじゃん、僕は。

別にヒーローになりたいわけでも、有名になりたいわけでもない。ただ、デザイナーとしての到達点はまだまだ高く高く本当に高く設定できて、それはある意味で、人生を賭ける価値がある、そう思えて来た(ようやく)。昔、お世話になった業界の先輩が「デザイナーは生き方ですから」とおっしゃっていた。そのことがようやく身に染みて来た、そんな実感がある。

デザイナーになりたい。

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