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本当は高齢者にやさしくない、らくらくスマホ

先日、ご近所のおじいさんから「電話会社から毎日のようにガラケーが使えなくなるからスマホに変えてくださいと電話がくるので、機種変しに行きたいからついてきてくれ」と言われ、片道1時間かけて某docomoショップに行ってきました。

おじいさんは、通り一遍の説明しかしない若葉マークをつけた新人くんの話を聞いていなかったかのように、

「なんでもええ、選んでくれ」

と私に何万もするスマホ選びを一任してくるではありませんか。

これは非常に難しい選択です。

というのも、60代の私の両親へのスマホ選びなら迷わずiphoneにしたと思いますが、相手は一度もスマホを触ったことがなく80年弱の年月を生きてきたアナログ猛者。さすがにiphoneはハードル高いかな〜と思いつつ、分からんことがあった時に多分対応するのは多分私。。。だとすると、自分の機種と近い方が良いかと思い、iphoneの型落ちの在庫を確認すると、

「ほとんどないです。あったとしても取り寄せです」

という若葉男。

むむぅ・・・この往復2時間をもう一度行脚するのかと思うと、Androidで良いかと思いつつ、私はAndroidユーザーではないので、ここはAndroidでも唯一触ったことのある爺婆の救世主「らくらくスマホ」で手を打つしかないか・・・

脳内会議を秒速でこなして、おじいさんに最新型のらくらくスマホをすすめることにしました。
今思うと、この判断が全ての誤りだったと感じます。

古い携帯のデータの移し替え(2500円)から、新しいスマホの画面カバー貼り付け作業(500円)まで、機械に慣れてなさそうな高齢者ができなさそうな作業は全て価格設定されており、さすが大手キャリアって感じです。小さなニーズもぬかりなく全てサービスに替えて、高齢社会における常設店舗のアドバンテージを余すところなく使ってきますね。


らくらくスマホの落とし穴

「事前に調べずその場で決める」というプレッシャーでらくらくスマホを選んだ私は、後日そのスペックを見て唖然としました・・・。
価格は当時(2022年3月)6万円近かったと思いますが、同じぐらいの金額で買えるGalaxyA53と比較してみたところ、容量・バッテリー・カメラ機能全てにおいて何も秀でたところがありません。マジでらくらくスマホ何でこんなに高いのか。

加えて致命的だったのは、外部メモリが読み込めないことでした。いや、正確にはマイクロSDを差し込むことはできます。一度やってみましたが、SIMカードと同じ差し込み口になっており、SIMカードを落とさないように入れなきゃならず、超絶面倒です。二度とやりたくありません。

高齢者にデータ転送なんて、と思われるかもしれませんが、管理している空き家の防犯カメラの映像とか、田んぼや畑を荒らす動物の捕獲のために設置したカメラなどはSDカードで記録されるため、案外需要があるんですよね。

高齢者にこそハイスペックを

おそらく、らくらくスマホの一番の売りは

「とにかく簡単に操作できるものを作ること」

だったのでしょう。もちろん操作のしやすさは大切です。が、それとスペックの低さは連動させるべきではありません。

例えばiphoneはスペックが高くても、直感的な操作をできるように、インターフェイスがデザインされているわけです。
今、DX推進のために各自治体が高齢者世帯にタブレット端末を配ったりしてさまざまな実証実験をしていますが、そんなことをしなくてもスマホの普及率が9割近くまで上がっているのだし、各自が持っているスマホが有効に使えれば、これまでの用途(インターネットによるビデオ通話、離れた家族との動画のやり取り)に加え

基礎自治体への手続き関連をわざわざ窓口でせず、
オンライン診療で自宅でリハビリができるようになるかもしれないし、
年金受け取りだってわざわざ郵便局に行列ができることもなく
テレビをスマホのモニターがわりに使えばテレビ契約だって要らなくなるかもしれない。

上記にとどまらず、今後、デジタル改革でできることは計り知れないのに、意気揚々とらくらくスマホを作っているようでは、この国のDXは遅々として進まないよな。。。と落胆してしまった、という話でした。

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