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どうして親は必要なの?〜心理学から考える〜

こんにちは!ゆう先生です。

今回は、
「どうして親は必要なのか?」について
書いていきます。


親はだれでもいい?

ガチョウのひなは「最初に目にしたもの」が親になる

親が必要かどうかについて考える前に、
親と子の間にある
愛着(アタッチメント)」について
考えてみましょう。

最近「アタッチメント」という言葉が
注目されていますね。

その起源についてお話します。

生物学者のコンラート・ローレンツは
20世紀の初め、
ガチョウのひなと母親の
強い結びつきに注目しました。

そして、
卵からかえって
『最初に目にした動くもの』に、
ひな鳥が愛着を持つことを発見しました。

この行動は、本能的な現象であり、
ローレンツはこれを、
「刷り込み」と呼びました。

この後、心理学者たちが
新生児と母親の間の絆に興味を持ち始め、
これを「愛着(アタッチメント)」と
呼ぶようになりました。

「愛着」がないと、どうなるの?

800年ほど前の、昔行われたある実験…

親と子の間に愛着がない場合、
赤ちゃんはどうなってしまうのでしょう?

800年ほど前、50人余りの赤ちゃんに
残酷な人体実験が行われました。

それは、
抱っこや目を合わせたり語りかけたりなど、
一切のスキンシップを排除して育てる
どうなるか、というもの。

面倒をみる際、

  • 目を見てはいけない、

  • 笑いかけてもいけない、

  • 語りかけてもいけない、

  • ふれあいを一切してはいけない

と命じたそう。

その結果、どうなったか。

乳母や看護師からは
十分なミルクを与えられていたにも関わらず、
愛情を貰えなかった赤ちゃんたちは、
全員死んでしまった
そうです。

このように、
お世話をする大人から、
 生命維持に必要な食事を与えられるだけでは、
 子どもは育たない

愛情は、子どもたちが生きるのに
 必要不可欠

ということが
分かりますね。

愛着は、”次元が違う”くらい大切

「愛情」を与えることは、「食べ物」を与えるくらい大切

精神科医のジョン・ボウルビィは、
両親から長期間引き離された子どもの観察」を
しました。

第2次世界大戦中に疎開した子どもを含むのですが、
多くの子どもたちが、その後
様々な問題を抱えるようになったことに、
ボウルビィは気づきました。

ボウルビィは、結論を下します。

人生の初めの24カ月で、
子どもは少なくとも一人の保護者
―通常なら親、ほとんどの場合母親―
絆を深める
必要がある。

ボウルビィ より

愛着」は、
特別な存在との強く永い感情的な結びつきで、
これが妨げられると、
発達上長い期間、影響をうけます。

そして、
乳幼児期に”母親”と一緒にいることが、
その後の成長に大きな影響が出るということです。

”3つ”の愛着タイプ

愛着には種類がある

発達心理学者メアリー・エインズワースは
見知らぬ状況にいる子どもたちに対して
調査を行いました。

母親が部屋にいるかどうかで、
他人に対する子どもの反応に
どのような違いがみられるか、を調査しました。

この調査から、
愛着には、
3つの異なるタイプがあるという
結果が得られました。

◆安定型

母親がいると、
 子どもたちは周りを探検し、他人とも関わり合う
・しかし、母親がいなくなると不安になり、
 また姿を見せれば喜ぶ

◆不安ー抵抗型

・子どもたちは 
 他人を避け、周囲を探索しようとしない
母親から引き離されると動揺し、 
 母親が再び姿を現すと、怒りをあらわにする

◆不安ー回避型

遊んでいる時
 おおむね母親を無視する。
一人にされると動揺するが、
 他人によって簡単になぐさめられる

一番良いタイプは?

この中で
安定型は、子どもが
将来、良い人間関係の作るのに
役立つ
とされています。

逆に、
安定した愛着の得られない子の場合、
その後の人生で強い絆を結びにくい傾向があります。

愛着に問題のある子の行動は、
社交的にも、情緒的にも
幼い傾向があります。

※「私の子は安定型じゃない」という保護者のみなさん
  安心してください。
  一番大切なことは、子どもに愛情を注ぐことです。
  あくまで参考程度にお聞きくださいね。

親以外の愛情でもいいの?

親以外にも、愛情をくれる大人はいますね

心理学者マイケル・ラターは、
乳幼児は、
母親だけでなく
父親、兄弟姉妹、友人も、
愛着の対象にすると示しました。

また、私の経験ですと、
無生物(ぬいぐるみなど)も、
子どもたちにとって愛着の対象になりますよね。

イスラエルの「キブツ」

イスラエルに
キブツ」というシステムがあります。

キブツとは、
子どもたちが家族から離れて、
専門スタッフがいる別の場所で暮らすシステム

です。

子どもが家族を離れ、
“家族以外”の大勢の大人によって
育てられる
のですね。

子どもの世話は、
専門スタッフが交代で行い、
乳幼児の場合、
母親が授乳の時間にだけやってくるそうです。

保育園に似てますが、
保育園では親がお迎えに来てくれますが、
キブツの子どもたちは、
授乳以外に親に会えません。

このキブツ、
子どもたちの成長の結果には、
良い面悪い面があるようで。

キブツの良いところ、悪いところ

心理学者ブルーノ・ベッテルハイムによると、
キブツの研究において、

「子どもは家族から離れて
共同体の中で育てられても、
情緒的不安に陥るような例は
あまりない


「活発な社会生活を送り、
立派な職に就いている
としていました。

しかし、
「傾向としてその子たちは、
大人になって親密な絆を結ぶことが少ない
対人関係の問題を抱えやすく、
情緒が不安定だったり、
親密な関係を避ける傾向が見られた」
という批判もありました。

やっぱり子どもは、愛情がほしい

食べることと抱きしめられるのは、同じくらい大事

心理学者ハリー・ハーロウは
「子ザルを”人工の母親”とともに生活させる実験』を
行いました。

母親役に
「布製の柔らかいぬいぐるみ」と
「針金がむきだしだが哺乳瓶」のついた人形を
置きます。

子ザルは、
哺乳瓶からミルクを飲むと、
すぐに
ぬいぐるみの「母親」のほうへ
戻って甘えました

このことから、
「情緒的欲求(こころ)」を満たすことが、
「生理的欲求(からだ)」と同じくらい重要
だと
分かりました。

まとめ

”愛情を与える大人”が親

いかがでしょうか?

子どもたちに親が必要な理由は、
愛情」が必要だから。

子どもたちは、
栄養のある食事を食べても、
たくさん寝ていても、
”愛情”が無ければ、
死んでしまう。

そして、
”愛情を与えてくれる大人”が、
子どもにとっての、親。

愛情を与えることの
大事さが分かりましたね。

子どもたちのために
”愛情”を持って行動し、
子どもたちが”愛情”を受け取る。

このことが、
子どもをよりよく成長させてくれると、
私は思いました。

最後まで呼んでくださり、
ありがとうございました!

これからもよろしくお願いします♪
ゆう先生でした。


出典:マーカス・ウィークス(著者),渡辺滋人(訳者),ジョン・ミルディンホール『10代からの心理学図鑑』三省堂 2015

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