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なぜ失敗するサービスが生まれるのか

システムエンジニアになってからもう少しで5年目となり、いろんなサービスに携わる機会が増えてきてます。
そんな中で何でこんなに不便でユーザが使いにくい作りになっているのか、誰にも使わないような機能が何で用意されているのかと感じるサービスが割と多くあることに気付きました。
今回はなぜこのような失敗するサービスが生まれてしまう原因を、本を読んだり、自分なりに考えたことを書いてみます。

「ゴムのユーザ」を作ってしまうため

サービスを開発していくにあたり、必ずと言っていいほどサービスの「想定ユーザ」を考えて進めていくと思います。しかし想定ユーザを決めたら問題なく開発を進めていくことができるのでしょうか。
例えば想定ユーザを「スマホを持っている中年の方」と定義をした際、この情報だけでは開発メンバーは各々自分勝手なユーザを思い描いてしまいます。これでは「何も定義していない」のと同じ意味になってしまいます。
このようなユーザ定義を、アラン・クーパーは「ゴムのユーザ」と揶揄しています。つまり、エンジニアの都合に合わせて引っ張られてしまい「伸び縮みして形を変えてしまう、都合の良いユーザ」という意味です。

声の大きい人の意見に引っ張られるため

開発当初はメンバーそれぞれ、ユーザに対して価値のあるモノを提供したいと思い、様々なアイデアを出すと思います。しかし良いアイデアがあったとしても、誰かしら「反対するユーザ像」を言ってしまうとそのアイデアは没になってしまいます。そのようなことを繰り返すうちに、一番守らなければならない「納期」が迫ってきます。
そうなると、納期を守るために「声が大きいメンバー」が主導で「とりあえず」使ってくれそうなユーザを作ってしまいます。他のメンバーも納期があり、疲れ果てているのため反対する気力もなく、もっと良いユーザ像があったとしても、ユーザ像を変えてその案に賛成してしまいます。
このような結果、存在しないユーザ向けのサービスが生まれてしまいます。

エンジニアの思考に染まりきっているため

サービスの操作性にある程度難があっても、我々のようなエンジニアは何となく裏の作りを予想できるので操作方法を何となくで理解できると思います。しかし、この状態のまま開発をしてしまうと失敗に繋がってしまいます。
何故ならこの状態に陥ってしまうと、開発中に多少操作性に難があったとしても、まあこれぐらいの操作なら「普通に分かるでしょ」と思ってしまい何の疑問もなく開発を進めてしまいます。そして、ユーザに触ってもらう際に初めて、システムの中身を全く知らない一般ユーザは操作できないといったことに気づきます。これは先ほどの「ゴムのユーザ」と同じく、自分にとって都合の良いユーザを作っているからです。

余談となりますが、最近実家に帰った際に、母があるサイトの操作方法が分からないと言っていましたが、何でそんなこと分かんないのと言ってしまいました。しかし、この記事を書いてる際にこの出来事を思い出し振り返ってみると、それって単純に自分がエンジニア思考に染まりすぎてしまい、母のようなシステムに疎いユーザ像を全く想像できていなかったから、そのような発言をしてしまったと反省しました。

失敗しないために

これらのことを防ぎ失敗しないためには、ユーザ調査をしたうえで事実に基づいた存在するペルソナを作成することが大切です。このあたりは別の機会に書こうと思います。

参考にした書籍

「ユーザビリティエンジニアリング(第2版)」


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