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▼前の話 ▼第1話 ホウコはずっと書写をしていた。月が出てからも机に覆いかぶさるように…
▼前の話 ▼第1話 日が昇って報告を受けた天使達は機嫌を損ねていた。 「神聖なる神の花…
▼前の話 ▼第1話 「今日も疲れたな」 案山子をするぼくの足元で老人が言う。 「読めな…
▼前の話 ▼第1話 「なあ、本当にこんなとこにいんのかよ」 「いるって。入ってくの見たも…
▼前の話 ▼第1話 日暮れ間近は水遣りの時間だ。 昼間の太陽で温まった水を、天井付近…
▼前の話 祈りの声で目が覚めた。 重なり絡み合う数十の声。老人は低く、男は太く、女は…
真っ暗な空に小鳥が飛んでいる。 一羽や二羽ではない。何十羽もの白い小鳥が蛾のように、水晶板の天井に群がっている。 小鳥達はわずかに曇った透明な板を小さな嘴で叩く。氷の礫が降っているようなコツコツという音が温室に響く。満月の光を遮っていた小鳥に、ぼくは両手に一枚ずつ持った円形の鏡の片方を向ける。小鳥は鏡に映った自分自身の姿に驚いて、水晶に翼を打ち付ける。発光する鱗粉のような軌跡を残して小鳥は去っていく。そしてまた別の小鳥が現れる。その繰り返し。 「今夜は鳥が多いなぁ