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「陰謀論の処方箋」という話

まえがき:陰謀論の危険性

 陰謀論。誰もが一度くらいは耳にしたことがあるのではないでしょうか。影の政府(ディープステート)が世界を裏で牛耳っていると言ったことや、一部の権力者がワクチン接種と称し、マイクロチップを市民に埋め込み、市民の監視をしているなどです。

 こうした陰謀論は、時として私たちの脅威になります。例えば、2020年12月25日、テネシー州ナッシュヴィルのダウンタウンで大量の爆発物を積み込んだキャンピングカーが爆破され一帯が大きく破壊される事件がありました。その事件で亡くなった犯人は「人類が爬虫類人間に支配されている」という陰謀論を信じていたと言います。

 他にも、ワシントンD.C.のピザ屋の地下室で民主党政権関係者たちが小児性愛にかかわる闇の取引をしているという陰謀論を信じた男性がライフルをもってピザ屋に押し入るという事件を起こしたりもしています。

 現在、アメリカで大きな影響力を持つ陰謀論者のQ(またはQアノン)の信奉者たちが殺人やテロなど凶悪な事件を起こしていることも問題視されています。

Qアノンは、小児性愛者の闇政府(ディープステート)が政府を支配しているとの陰謀論を展開し、警察は彼らが現実の暴力を触発する可能性があると警戒している。Qアノンの信奉者とされる人々は近年、殺人やテロ、誘拐などの罪で起訴されている。

(『Qアノン信者が子供2人を殺害、「トカゲ人間の陰謀論」を主張』)

 現在、陰謀論は無視できないほど社会的に危険なものになってきています。日本でも、反ワクチン陰謀論者たちが事実に基づかない陰謀を拡散したりするなど、様々な問題があります。

 本稿では、このような陰謀論は何故生まれるのか。どうして拡散されるのか。どのように対応していけばいいのかと言ったことを様々な研究やデータを踏まえたうえで考えていこうと思います。

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