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「信頼の方程式」とは何か(後編)

今回は以下の記事の続きです。

信頼の方程式とは、下記のように定義されています。

T = (C + R + I )÷ S

T(Trust) = 信頼
C(Credibility) = 信憑性
R(Reliability) = 信頼性
I(Intimacy) = 親密さ
S(Self-orientation) = 自己志向性

前回は「C(Credibility) = 信憑性」と「R(Reliability) = 信頼性」について書きましたので、今回は、「I(Intimacy) = 親密さ」と「S(Self-orientation) = 自己志向性」についてです。

親密さとは、言い換えると「一緒にいて心地よい」と思わせること。なのだと思います。

この本を読んでみて、「I(Intimacy) = 親密さ」を増やすコツは以下なのだろうな、と考えました。

「I(Intimacy) = 親密さ」 を増やすためのコツ

・恐れない。あなたにとってもそうかもしれないけど、すべての人にとって親密になるために行動するには勇気が必要。でも、もし人生の中で誰かと親密になった経験を持っているならば、誰に対しても同じことをすればいい。
・高いポジションの人は、誠実さを求めるが、親密さにおいては「誠実」は必ずしも絶対的に必要なものではない。彼らも、お互いに怒りあったり、ぶっきらぼうに呼び合う中に、親密な関係があることを知っている。ただし、許容範囲を越えて嫌われないように注意はしないといけない。
・もっと相手の内側に入り込んで、楽しく、魅了されることを見つける。異なる角度から見ることで、広い視野を得ることができる。それはお互いにとって楽しい体験になるはず。
・相手が引いている線に近づきすぎていないか、離れすぎていないか、を試してみよう。信頼している相手には、もっと話すことがある人かもしれない。
・リスクを過剰に考えすぎない。親密性の境界線を越えることがビジネスリスクにつながると考えすぎることがある。
・最初に動く人になる。最初のリスクテイカーは親密性を増加させる。

つまり、『ぶっきらぼうに話せるぐらいの距離の近さがあるほうが「 親密さ」は大きくなるけど、人それぞれでこれ以上近づいていけない境界線が引かれていて、そのギリギリのところまでいけるのが望ましい。うっかりすると越えてしまうことがあるけど、それほど大きいリスクになることは少ないし、あまり過剰に心配して距離を置きすぎることもない』
ということなのだと思います。

本当に上手いなあと思い浮かぶ人もいます。その人はどうしているかと言うと、一見すると目上の人に馴れ馴れしい感じで接しているようで、結構相手との距離を測っていて、大胆に近づくけど相手が心地悪さを感じていることを察すると距離を修正する、ということをしているように見えます。他の人との大きな違いは、リスクを過剰に考えすぎずに攻めのコミュニケーションをとっていることです。敢えて距離を詰めているので、ただの失礼な人でもないし、修正をすることができる人です。

次は、「信頼の方程式」の分子にあたる「S(Self-orientation) = 自己志向性」です。この値が高くなるほど信頼が下がっていくことになります。

例えばで言えば、以下のようなことだと思います。

S(Self-orientation) = 自己志向性」 

・自分に関係する(利益のある)ことばかりを話す
・返答が短すぎる
・会話に隙間がなさすぎる
・賢さ、聡明さ、機知をアピールしすぎている
・問いかけに対して直接的に答えられない(回答がずれる)
・知らないことを「知らない」と言えない
・相手の名前を覚えていない
・何かに書いてあることを読みながら話しているだけ
・回答するのが不自然なほど早すぎる
・最初のほうからクローズドクエスチョンを使う
・相手のことをよく知らないのに仮設を立てたり問題分析をする
・話を聞いているときに視覚的にも言葉的にも反応しない
・相手を人としてよりも情報として扱っているように感じさせる

興味が相手にいかず、自分に向いている状態のことだと思います。

最近はWeb会議システムを使う機会も多くなっていると思いますが、画面オフにしていると「I(Intimacy) = 親密さ」は下がりやすいし、「S(Self-orientation) = 自己志向性」 は上がりやすいのではないでしょうか。

もともと信頼関係が出来上がっている間柄だったら問題はないと思いますが、親密な関係ではなかったり、信頼関係が築けていない場合は、改善する機会を失うことになりそうな気がします。

「仕事ができる」ことで間違いなく信頼性は高まるのですが、他にも感情的な要素で加算されたり、マイナスされたりするのが「信頼の方程式」です。けっこう納得感のある理論なので、日頃から意識してみようと思います。

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