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人材開発における「器、視野の広さ、人間力」を言語化している成人発達理論

中央大学ビジネススクールの組織開発研究会で実施された成人発達理論ワークショップに参加してきた。

私たちの成長を考える際に、2つの種類の成長がある。1つは、人間としての器の成長。もう1つは、私たちが発揮する具体的な能力(スキル)の成長。ハーバード大学教育大学院教授ロバート・キーガンは前者の「器」の成長モデルを提唱している。これは人材開発の場面で何となく「器」と語られていたものが上手く言語化されていて目から鱗が落ちる思いがした。

ワークショップではロバート・キーガンの弟子の一人であるスザンヌ・クック=グロイターの論文を題材として行われた。

キーガンの理論によると、人間には5つの意識段階があり、成人以降は4つの段階があるという。日本における発達心理学の第一人者の加藤洋平さん著作『組織も人も変わることができる! なぜ部下とうまくいかないのか 「自他変革」の発達心理学』には、この理論が小説風のビジネスストーリーして書かれていてわかりやすい。

その発達段階を上げるためには『捉え方の枠(経験の解釈)』を広げていくことが必要。しかし、『捉え方の枠』の外には、自分に都合の悪い不都合な現実がある。そして、その現実に対して、自己保全のために勝手に意味づけをしてしまう。よくわかるなあ。というか、耳が痛い。

人にはそれぞれエゴ(自我)があり、それが成長を阻害する行動につながる。知性の発達は主体と客体を行き来して成長していくが、その成長要因には①機会、②内省、③サポートの3つの因子がある。内省が重要な鍵となるようだが、1つの発達段階を上げるのに通常は5年〜10年かかるとも言われている。しかし、深い内省を毎日継続できるとこの期間を大幅に短縮したという調査結果もあるそうだ。きっと日記のようなものを続けられるといいのだろうな。

加藤洋平さんは、キーガンだけではなく、フィッシャーの理論についても体系的に書いた『成人発達理論による能力の成長 ダイナミックスキル理論の実践的活用法』を出版している。発達理論に興味がある人は先の本とあわせて、この本を読んでみるといいと思う。



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